初夢が仕事の夢だったひとー | 読書日記

読書日記

神郡が読んだ本の感想や、諸雑記を書いていくブログ。
知り合いには見せられないなあ。

もう仕事の夢みたくありません……。





・ジョージ・マクドナルド『北風のうしろの国』早川書房 (2005/9/22)
・江戸川乱歩『吸血鬼』創元推理文庫(1993)
・吉田篤弘『百鼠』筑摩書房 (2005/01)
・中田永一『くちびるに歌を』小学館 (2011/11)
・恒川光太郎『ヘブンメイカー スタープレイヤー2』 KADOKAWA/角川書店 (2015/12/2)



・ジョージ・マクドナルド『北風のうしろの国』

――「北風と一緒なら誰だって寒くなんかないのよ」―美しい女の姿をした北風の精は、ダイアモンド少年を幻想的な世界へと誘った。夜のロンドンの空へ、嵐の海上へ、そして北風のうしろの国へ…。その不思議な国から戻った少年は、想像力の翼を広げ、産業革命期の生活に疲れた人々に、優しさを取り戻させてゆく。C.S.ルイスやJ.R.R.トールキンらによって開花した英国ファンタジイの、偉大なる先駆者による古典的名作。――


『リリス』のジョージ・マクドナルドですよ。好きな翻訳小説ベスト3に入るあの名作の。今回は訳者は違いますが。

今作は少年少女向けといった感じの、少し教訓的なところのある物語です。
北風の精と冒険に出かけるダイアモンド少年のお話――かと思いきや、それは意外にも前半のみです。
後半は、北風のうしろの国へ行ってきたダイアモンド少年が苦しい生活の中でどんなに周囲の人々の心を癒したか、というところに重点が置かれます。
素直で天使のように純真なダイアモンド少年は、周りには少し頭の足りない子供だと思われています。しかし彼の側にいるものは誰しも彼に救われます。
貧しい生活の家族も、飲んだくれのお隣の亭主も、お屋敷のお嬢様も、道路掃除の少女も、慈善家の紳士も。
ダイアモンド自身もそういった人たちに助けられながら成長し、やがて再び北風と出会った時……。

ファンタジーながら細腕繁盛記的な要素もありつつ。
ダイアモンド少年から聞いた話を「私」が書き記したという構成のため、北風のうしろの国の描写が甘めなのが残念といえば残念。
戻ってきたダイアモンド少年がばかだと思われるのがなにより切ない。あんなに一所懸命救おうと頑張った少女ナニーにもおばかさんだと思われているのがなあ。

ダイアモンド少年の幼い弟妹たちはこんなお兄ちゃんがいたことをおぼえているだろうか。はあ切ない。



・江戸川乱歩『吸血鬼』

――初秋の温泉宿で、美貌の女性、柳倭文子を間に挟み、世にも奇妙な決闘が執り行われようとしていた。やがて舞台を東京に移すや、彼女をつけ狙う不気味な唇のない男が出現し、怪事件が続出する。明智と『魔術師』事件で知り合った美人助手文代、それに小林少年が加わり、怪人を向こうに回した死闘の幕が切って落とされる! 挿絵=岩田専太郎――


まだ江戸川乱歩読み始めたばかりなのでよく知らないのですが、小林少年どこから出てきた?
少年探偵団シリーズの小林少年ですよね、この話で初登場なんですけど、説明がないんですよ。読者諸君には初めてだろう、みたいなことは出てくるんですが、どういう経緯で明智さんの助手になったの。これから徐々にわかるタイプですか? そうですか。

ストーリーはとある旅館で2人の男が女を巡って毒杯をロシアンルーレットで飲む決闘をしているところから始まります。
その勝者の美青年三谷、逃亡した敗者の岡田、事件が起きる前から誘拐される名探偵、唇のない男――忽然と姿を消す犯人、密室から消えた死体、変装に次ぐ変装、大逃亡劇、意外な犯人。
盛りだくさんでした。結構な無茶もありますが、エンタテイメント活劇大満足です。
タイトルで想像していたような血を吸う化け物ではなく、民間伝承の甦る屍鬼という意味での吸血鬼です。



・吉田篤弘『百鼠』

――僕らは空の上から物語を始める。神様でも天使でもないけれど。笑いと哀しみをくぐりぬける三つの小さな冒険。――


『一角獣』『百鼠』『到来』という言葉から着想した3つの物語。
短編ですが、どの話も長編の第一章という位置づけらしく続きが気になる終わり。

一角獣のような角の生えたぼろぼろの自転車を拾った男の話と、空の上から三人称で物語を書く者を管理している人々の一人称物語、小説家の母の書く私と現実の私の齟齬の意味を考える話。
続きが読みたいのは『百鼠』で、一番好きなのは『到来』でした。

どれも言葉選びが丁寧でどこか上品で、やっぱりこのひとの小説は詩のような味わいがあります。



・中田永一『くちびるに歌を』

――長崎県五島列島のある中学合唱部が物語の舞台。合唱部顧問の音楽教師・松山先生は、産休に入るため、中学時代の同級生で東京の音大に進んだ柏木に、1年間の期限付きで合唱部の指導を依頼する。
それまでは、女子合唱部員しかいなかったが、美人の柏木先生に魅せられ、男子生徒が多数入部。ほどなくして練習にまじめに打ち込まない男子部員と女子部員の対立が激化する。
一方で、柏木先生は、Nコン(NHK全国学校音楽コンクール)の課題曲「手紙~拝啓 十五の君へ~」にちなみ、十五年後の自分に向けて手紙を書くよう、部員たちに宿題を課していた。
提出は義務づけていなかったこともあってか、彼らの書いた手紙には、誰にもいえない、等身大の秘密が綴られていた--。――



冴えない少年を書かせたら一品の乙一節炸裂。少年少女向けのライトな青春小説といっても差し支えないとは思いますが、ダークな面は無い分重いテーマを含んでいるので中学生以上向け、でしょうか。
2人の主人公ナズナとサトルの視点が交互に続いていく構成です。とくに「ぼっちのスペシャリスト」サトルがいい。涙でてきちゃう。

微妙に感じる冒頭との違和感は気になればなる感じです。問題なくお薦めです。
いいなあもう青春!



・恒川光太郎『ヘブンメイカー スタープレイヤー2』

――気が付くと殺風景な部屋にいた高校二年生の鐘松孝平。彼はバイクを飛ばしている最中に、トラックに幅寄せされ…その後の記憶はなかった。部屋の外には他にも多くの人々がおり、「死者の町」と名付けられたこの地にたどり着いたという。彼らは探検隊を結成し、町の外に足を踏み出す。一方、片思いの相手を亡くし自暴自棄になった大学生の佐伯逸輝は、砂浜で出会った奇妙な男に勧められクジを引く―。いつのまにか見知らぬ地に立ち、“10の願い”を叶えることができるスターボードという板を手にとった。逸輝は己の理想の世界を思い描き、異世界を駆け巡ってゆく…。先住民や来訪者、そしてどんな願いも叶えることができるスタープレイヤー―。多様な国家や人種が息づく異世界で、人間の本質を描きあげる渾身の長編サーガ。興奮と感動をよぶファンタジー長編、第二弾!――


文句なく面白い。1作目よりも面白かった。世界観や設定も固まっているし、このシリーズ続きが俄然楽しみになってきました。
前作との繋がりはほとんどなく、一部共通人物がちらっと出るくらいなのでこちらから読み始めても問題ありません。

死んだ者たちばかりがなぜか集められた町の謎と、スターボードを与えられた青年の話が交互に続いてどちらも気になって気になって仕方ない。
ファンタジーだけどファンタジーファンタジーしてないファンタジーで、人種問題、奴隷、国家、宗教、文化、戦争といった血なまぐさく人間臭いテーマです。
それに恒川光太郎がホラー作家だということを忘れてはいけません。亀人間エグい、人間のエゴ汚い。時々ぞっとする文章が紛れ込んでて恐ろしい。

スターボード欲しいけどこの世界には行きたくないなあ。3巻は来年ですかね。





お正月特番に食傷気味だったのでCMの統計取ってみました。

1位…車
2位…家(賃貸含む)
3位…アプリ

以下、金融、薬、酒、食、服……

単純に車と家のスポンサーが多いってことなんでしょうけど、普段そうそう買い替えないものの筆頭が頻度1,2位ってどうなんでしょうか。


ということで、今年もよろしくお願いします。
さようなら。


『おめでとり
 ミカンをおす
 ”キュウ~~~~~~~~~~~~~~~ン!!”
 ”こんなの イヤン こんなのって イヤ~ン
 ミカンのしるが めにしみてる!!”
 あばれたら ちょっとおちついた』