寒い日に外で熱い甘酒を飲んだり、暑い日に冷やしたスイカをかじったりと、真逆の組み合わせは最適な組み合わせであることが多いものです。それでは真夏の定番ホラー小説を寒い日に読んでみたらどうなるでしょうか。
小野不由美『残穢(ざんえ)』
――怨みを伴う死は「穢れ」となり、あらたな怪異の火種となるのか──。畳を擦る音が聞こえる、いるはずのない赤ん坊の泣き声がする、何かが床下を這い廻る気配がする。だからあの家には人が居着かない──何の変哲もないマンションで起きる怪奇現象を調べるうち、浮き上がってきたある「土地」を巡る意外な真実。著者九年ぶりの五〇〇枚書き下ろし、戦慄のドキュメンタリー・ホラー長編。――
季節関係なかった。怖い怖い。
あまりにも怖かったので、昼間に暇をみつけて少しずつ読み進めました。夜は無理。
怪談を蒐集する作家の視点から、あるマンションで起きた怪異をドキュメンタリータッチで追っていく話。
畳を箒で掃くような「さっ」という音が断続的に聞こえる部屋。住人は最初はそれほど気にせず、その音に中年女性が投げやりに箒を使う様子を思い浮かべていた。しかし、音のした時に不意に振り向いたところ、一瞬垂れ下がる着物の帯が畳を擦るのを見た。
また同じマンション内の別の部屋では、幼い少女が和室の天井を指さして「ぶらんこ」という。
同じ部屋ではないのに同じ怪異が起こることに理由はあるのか。
調べる内に、マンションだけではなく周辺の家にも似たような現象が起きていることがわかる。
元を辿っていくうちに、土地に染みついた「穢れ」が感染し、新たな穢れを生み出していることがわかり……。
語り手は手紙やメール、電話のやりとりで怪談を聞くので、常に一歩引いた観測者の位置にいるのがまだ救い。怪談に慣れているうえに懐疑的でもあり、迷妄や思い込みではないかと常に疑う姿勢でいるので、読み手も冷静になれる。と思ったら、徐々に語り手にも影響が出始めるという二重に怖い構造だった。
安全だと信じていた場所が安全ではなくなるというのはかなり精神的にきますね。サイレントヒル4の自室が浸食されていく感じとか。セーブポイントが襲ってくるとか、ヒールポイントが毒沼だったとかシャレになりませんよ。
正月の内にまた書けるといいですが。
では、さようなら。
『あなたのほね。
わたしのほね。
ほねのほね。
ほね。ほね。ほね。』