冬日和は洗濯日和。

久々の外干しで、フローラルブーケの香りが狭いベランダに心地よい。

それだけで幸せな気分になるのは冬日和。

 

 午後、陽が陰るちょっと前に洗濯物を取り込むことにする。

 シーツに綿毛布はさすがに乾ききっていない。乾燥機にかけるかと算段しながら、一緒にジーンズ、Tシャツにパーカーにたくさんのタオル、もろもろを雑にどんどん胸に抱え、両手に抱え、すべてを持って部屋に入る。

 

 1歩足を部屋の中にいれ、さらに一歩。

 出そうとしたけれど、2歩目は意図したようには動かなかった。

 シーツの端を踏みつけたらしい。

 おっ、ちょっと戸惑う。

 

 手に持ったシーツは足先で引っ張られ、当然ながら進路を妨げ、それ以上の足の前進を阻む。けれど、部屋に入ろうとしていた私の体のベクトルは変わらない。

 足先を基軸に確実に部屋の中に入ろうとしている。体だけ。

 

 え。

 ちょっと待って。

 

 体が向かう先はでかいローテーブル、らしい。

 頭が角?

 いや、ちょっとずれるかも。

 いやいや、ぶつかるのは同じだ。

 

 誰がこんなところに置いたんだぁ。なんて叫んでみても始まらない。

 

 ああぁ。

 

 急に周りの全ての情景が緩慢になっていくような気がする。

 人は一瞬に走馬灯のように人生を思い起こすと言っていたのは最後の時だったか。

この場合はそれとは違うとは思うけれど、さすがに何かが起こりそうな恐怖が走る。

 

 お母ちゃんごめんなさい。

 もう、何もしてあげられないかもしれない。

 怪我して、動けなくなるかもしれないし、最悪は…。

 なんて親不孝なんだ。

 

 だから、

 いつも自分に言い聞かせていたじゃないか。

 そそっかしいんだから、慎重に行動しろよって。

 一緒に2つ以上のことはするなって。

 器用そうに見えて、本当は不器用なんだからね。

 なんで、洗濯物を一度に全部持つかなあ。

 少しずつ、せめて二つ、三つと控えめにすればいいのに。

 ついつい調子に乗って、

 面倒だからってひょいひょい持っちゃったりして、足元も見えないほどに抱えて、やんなっちゃうよな。

 

 あああ、

 

 と、

 ふっと膝が折れてテーブルの手前に、

転げ込んだ。

 えっ

 手首をちょっとねじったけれど、難を逃れたらしい。

 ふぅ、助かった。

 

 誰かが、膝カックンしてくれたらしい。