朝からバタバタしていた。

 そんなに急ぐ必要はないけど、

 母との生活も1日のローテーションがあって、その通りに運ばないと何となく心地が悪い。

 几帳面な性格、かな。

 なのに、寝坊してしまった。

 僅か15分ほどだけど。

 炊飯器のスイッチを入れるのが遅くなり、朝のローテーションが崩れる。


 2週間間隔で、電源オンオフの繰り返しだから、タイマーの設定は諦めている。

 毎日スイッチを入れる。それはそれで、一日の始まりって感じがいい。なのに。


 母が起きるまでの間にやってしまいたい事がいろいろある。

 いや、たいしたことではない。

 朝食の準備と洗顔とお化粧。

 ふつうに当たり前のこと。


 具だくさん味噌汁と甘い卵焼きを作って、納豆と時々塩鯖を焼く。それだけと言えばそれだけ。

 そして、母の好きな沢庵を薄く薄く切る。

「上手に切ったね」と母が誉めてくれるとついついいい気になるけど、時々繋がっている漬け物を嬉しそうに高く高く持ち上げる母。

 動作が子供っぽい。

 苦笑い。

 

 朝の準備を7時40分くらいまでに終えて、すでに起きてはいる筈の母の寝室の襖を開けるのがいつもの朝。

 8時の朝ドラを観ながら食事というのがベスト。

 

 ところが、寝坊した。

 ああっ。

 仕方ないと思いつつ毎朝のローテーションをこなし始める。どこかで帳尻を合わせなければいけない、とも思う。

 で、それほどの短縮になるとも思えないけれど、冷蔵庫からいろいろと一度に取り出そうとしてしまった。

 持てる数は限られているのに、だ。

 そして、手に余った。

 あ、落としそう、と思った瞬間に

ぐしゃと言う音とともに、見事に床に片目が広がった。

 やっぱりね。

 後始末していたら、さらに遅くなった。


 気を取り直して慎重にさらに卵を取り出し、割ってみると、

 お!

  全ての粗相を補って余りあるほどの幸福感。

 一つの卵から二個の黄身が現れた。

 思わず笑顔になって、母のもとへ。

「卵が二つ出てきたぁ」

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