2日目は、何を話したか、あんまり覚えていない。だけどあんまり話して、話すことがなくなるのがちょっと不安で、途中席をはずして、カフェに行ってみたりした。実は彼の作ってくれるサンドイッチに、ちょっとあきちゃったのもあって、何か食べるものを、探しに出てみた。カフェで適当なパンと、水を買って、適当な席について、パンを食べた。
ちょうどパンを食べ終えたころ、ショートカットのグレイヘアに、ふくよかでにこにこした感じの婦人が、登場した。彼女は私の座っているテーブルに腰をおろして、私にいろいろ、質問をはじめた。どこから来たの。なにをしている人なの、って。私は聞かれるままに、いつも人に聞かれたときに答えるように彼女の質問に答えて、50代後半、または60代にも見えるこの婦人が、とってもアクティブに、大きな都市へ出て、ナニーの仕事をしながら、都会生活を楽しんでいる話しを聞いた。彼女はナースのプログラムを途中でやめて、ヘルス・プロモーションを勉強したあと、カウンセラーの仕事なんかをして、今はまた、パートタイムで、心理学を、勉強しているのだそう。
すごいな。
そして、とっても楽しそう。婦人は話しながら、口につまった食べ物をぽろぽろとこぼすから、私はちょっと、おいおいと思ったけれど、困ったことがあったら、いつでも電話してきてと、電話番号をあげるから、あとで私の座席にいらっしゃいと、言われるまで、彼女と話し続けた。
席に戻ると、Gが私をちょっと、不思議そうな顔で、でもいつもの笑顔で、迎えてくれた。そして彼も、パソコンや携帯の充電がしたいんだけど、カフェに、パワーポイントはあったか、と聞かれたので、私は、あったっけなぁと、考えてから、隣の車両だし、と見に行ってあげた。カフェに、パワーポイントは、2つあった。それを伝えると、彼は嬉しそうにカフェに行ってくるね、と、消えて行った。私はその間、窓際の彼の席に腰をおろさせてもらうことにして、少し外をみて、それから眠った。
目を覚ますと、いつの間にか帰ってきた彼が、隣でブログの更新のための、記事を書いていた。スペイン語で書かれたブログを訳してもらったり、彼の作った、ビデオを見せてもらったりした。こうやってビデオを作って、スポンサーについてもらって、その機材を使ったりしながら、1年に1度、旅がしたい、って、彼は言っていた。叶うといいね。と、私は言って、心から、彼のために、そうなるといいな、と、思ったと、思う。今も、そう思う。
列車が到着するのは、10日の朝。彼は12日の午前2時の飛行機で、インドネシアに旅立って、そこからマレーシア、タイ、中国、モンゴル、そしてロシアへ自転車で渡って、自分の国、スペインへ帰っていく、予定なんだそうで、困ったのは、その10日の日の間に、飛行機にあずける自転車を入れるための、段ボールをどこかのサイクリング・ショップでゲットしなければいけないこと。そして、その段ボールを、空港で預かってもらったら、私の滞在する予定のホテルの部屋のかたすみに、泊めてもらえないかな、って、いうことだった。
いいよ、、、、? (いいのかな)。少し考えて、この3日間、私たちの関係が良好だったらねって、私は、言った。意地悪じゃなくて、本当に、そのままの意味で、正直に、そう言った。3日間て、長いもの。でもそしたら彼はあははと笑って、そのあと確かどこかでもう一度、話しの流れで、泊めてもらえると助かる、というようなことは言ったけれど、フレンドリーな態度や会話とはうらはらに、彼は私の、連絡先を欲しがるようなことは、一度もなかった。メールアドレスも、電話番号も。私はそれを、寂しく思った。彼にとって、私は、一期一会。