こんなゴムくさいのは『パイ』じゃないと、

哺乳瓶の吸い口をベエエと押しだしてしまう夏であったが

数日さまよっていた飢餓状態で

とにかく必死に、母乳を欲していた。


その必死さには、元来の食いしん坊が見え隠れしていたが

そんなことより、一刻も早く人工乳を飲ませないといけない。


2時間おきに、かあさん(という肝っ玉高齢地域猫)に

もらいに行くわけにもいかない。


最初の4日間は、2時間おきに、哺乳瓶を試し

ダメとなると、

人工乳を浸み込ませたガーゼを口に含ませ

横からスポイトで足していくという

ビスコの時の哺乳瓶ジプシーで取得した技でしのいだ。


まぁ、そのやりかたでは、正直たいして飲めない。

限界がある。


だいたい夏の日齢は何日なのか?


2月の盛りで着床した子は、ほぼ4月中旬~5月中旬に生まれる。

猫の妊娠期間は、2ヶ月なのだ。


遅めだったと考えて、5月末だとしても、この大きさはおかしい。


私は、愛知県で獣医をやっている友だちに連絡し

考えられる可能性を話し合った。


Queenly5月末に生れて、環境か健康の問題で発育しなかったが生き残っていた

Queenlyもしくは、6月の頭に生まれた

Queenly可能性としては少ないが、4月末~5月頭に生れて

  環境・健康問題で発育せず、だが奇跡的に生き残っていた


人間が運んできたとすれば、Queenlyだろう。

私や近所の協力者たちの知らないところで野良が運んできたのなら

Queenlyである可能性が高い。

しかし、私は、Queenlyの気がした。

それも、人間が運んで来て捨てて。


私のこういった勘というのは、たいてい立証されることが多い。

例えば、勘ではなく、

私は産み落とされてすぐの赤ちゃんのお尻を見て性別を判別できるが

目で見て女の子で、その後数ヶ月精巣が出てこなくても

「この子は男の子だ」

と、分かることがある。

そして、女の子として避妊手術をしたあとに、精巣が発達してきて

半陰陽であったことが分かる。

その後、心と体が一致したそういう子は、長生きは出来なくても

男の子として生きていく。

もちろん、逆もあるが、逆の場合は目で見て立証できない。


自分では、本人がどういうつもりかが分かる気がする。


うちにも、体は男の子だけど、生まれた時から心が女の子もいる。

(おかげで腎臓、肝臓、胆管、膀胱など重病を抱えている)

私自身が、男でも女でもない為、分かるともいえるが、

その他のことでも、

シックスセンスのひとなので(猫に限らずね)

合っていることは間違いないのだ。


そんな訳で、私の頭にあるストーリーはこうだった。


夏は、一般的な子たちと同時期の5月中旬に生まれたが

健康の理由と環境のせいで発育せず

5月末日か6月初日に人間によって運ばれ、、、、

おそらく、自分ちのそばの野良猫が出産して手を焼いた男性に、、、

捨てられて、耳も聞こえない目も見えないので母を待っていたが

数日たっても母が迎えに来ない為

最後の力で、物陰から探しに出てきたのではないか。


話を元に戻すと、

日齢は、1ヶ月弱という予想。

ビスコより、1ヶ月ちょうど後に生まれたのではないかという予想。


これに見合った摂取量に徐々に増やす必要がある。

本人も、飲む気は満々だ。

見合っていない摂取量も飲む気であろう。


ビスコが離乳期が入っていた為、だいぶ楽になっていた私だが

またもや、頭を抱えることとなった。


吸い口をあっためて生きている風味にならないか試してみたり、

少しでもゴム臭さが取れないかあれこれやっては見たが、

どうやってもダメ。

吸い口の外側にミルクをぬったくってみたが、これもダメだった。


5日目、

やはり、ベエエエと口から吸い口を押しだし

「パイくだちゃーい」

と、必死の夏。


だけど、、、、、天津木村じゃないが

「なんだか今日いけそうな気がする~~~~」

って感じで、私はねばってみた。


予感は的中。

ベエエエエの直後、いつも通りもう一度口の中に吸い口を入れると

突然、ちゃっちゃっちゃっと音がして

夏は、この問題をいきなりクリアした。


40mlでよかったのに、奴はやっぱり食いしん坊で

空っぽになった吸い口も口から離さなかった。


どうやっても諦めない。


まだ、コールタール状の下痢がとまらなかったし、

だいたい、そうでなくても

母乳から粉ミルクになった子は、下痢がとまらなくなるという。

なるという、、、と、いうのは、

私が育てた子は、下痢も便秘もしないから実体験がなかった。

『赤ちゃん猫は、下痢か便秘かどちらかは必ずします』

と、ネットでの情報にも載っているが、

私の育て方だと、どちらの子もいなかった。


なのに、夏は、もともとコールタールなのだ。

このうえ、粉ミルクに対応しきれずに更なる下痢になったら、

もう完全に命がない。

赤ちゃん猫は、下痢してそのまま死ぬパターンが多いらしいのである。


この食いしん坊の夏と私の,

闘病ともいえる生活が始まるのだが

私は、2週間もつかどうか、、、と、夏の命を計算していたので

いよいよダメだとなったら、気の済むように飲ませてあげようと覚悟をした。


ビスコの弟で三毛猫のギンちゃんも食いしん坊だったが

思うように飲めないまま死んでしまった為

その後悔もあった。


今まで飼ってきた色々な動物

(犬、猫、インコ、九官鳥、金魚、ハムスター、

モルモット、うさぎは勿論

子供の頃からケガをした鷹の子供を保護して自然に返したり

祖父が猿を飼っていたりした)

にも、最後いよいよダメな時は好きなものを食べさせてきた。


夏は、食いしん坊なんだから、どうせダメなら最後は

気の済むまで飲ませよう。


しかし、まだ、いよいよの時ではない。


我慢するのだ!夏!


そんな夏は、目が薄墨色でまだ見えない時期でも、

レストランを把握しているハングリーぶり。


レストランとは、いつも哺乳瓶が差しだされる私の右腿である。


右利きの私は、正座して右の膝の上に夏を載せ

左手で夏の体を支えながら、右手で哺乳瓶を持ち

毎回、人工乳を飲ませていたのだ。


夏は、バスケットから出されるやいなや、

ようやく歩けるようになったばかりだというのに

タタタタッと凄い早さで、私がいつも座る場所にやってきて

私の左膝に飛び乗り、サササッと右腿の付け根に座り

顔を上に向けて、

「イ~る?イ~る?」

と、語尾をあげる鳴き方をした。


これから飲むところだろうが

もう終わりとなっていようがなんだろうが

あっちを向けて床に置いても、

タタタタッと走ってUターンし、同じように入店してくる。


「死なないかもしれない」


生命力は、ビスコに感じたものと同じだった。

「こいつは生きる」

そう思った。


いつも全く注意力のない同居人に、

暗闇の中、あのタイミングで発見されたことも、生命力だと思えた。


頑張れ!夏!

何回も夏を生きるぞ!!


私は、あみぐるみのような夏に毎日、そう言い聞かせていた。


ビスコとなっちゃん ※これは、その1週間後くらい。

「♪空を飛ぶ~ 夏が飛ぶ~ TOKIO!」

ビスコとなっちゃん ※まだ目が見えていないのか薄墨色

ビスコとなっちゃん ※さらに数日後。

体が少しだけまるくなったが、100gくらい。

ビスコとなっちゃん ※保護してから1ヶ月後くらい

だいぶ顔もまるくなったが、あみぐるみ感は増すばかり。

ビスコとなっちゃん

※まんまる顔の夏は、90ml飲んでしまう食いしん坊に!

  そんなに飲んではダメです。

  体重は、140gくらいのころ。



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