母猫が舐めてあげるように体を拭いてあげると

軍曹殿は、ご満悦の

「ぷっぷっぷっ」

な日々。


猫の舌は紙ヤスリ位の強烈さがあるので

コットンをお湯で濡らしたあと

結構強めにゴーシゴーシ。

その際、まるで自分で舐めているかのように顔を近づけ

顔を上下させることも忘れなかった。


母も兄弟もいないことは、

軍曹殿には絶対秘密だったのだ。


この「ぷっぷっぷっ」

そして、おしっこをとる為にとんとんされると発する怒りの表現

「んっんっんっ」

耳が立ち、目が開いてくると同時に変化を見せ始めた。


ビスコとなっちゃん

「さびしーよー」

ビスコとなっちゃん

「ビーちゃん体温計ってんの」


ある日、いつものように体を拭いてあげてるいると

耳だけがちょこっと立って、目はまだつぶったままのビーが

「ぷっぷっぷっ」

と言い始めた。


「気持ちいーねー。

良かったねー。

びちゅ いーねー。」


「ぷっぷっぷっぷっ

 ぷーる、、、ぷっぷっ」


「ぷーる?」


「ぷっぷっぷっ ぷるっ」


「ぷる?」


「ぷっぷっぷっ ぷーる

 ぷぷっ ぷーるぷる ぷーるぷーる」


「!!」


ビスコが、へたくそなりにも猫らしく喉を鳴らした瞬間だった。

この瞬間に立ち会ったことは、長い動物たちとの歴史の中でも初めてだった。


「ぷーる ぷーる ぷーる」


そこからは、ぷっぷっぷっではなく

ずっとぷーるぷーると言っていた。


その頃には、ミルクは3時間おきになり、

体を拭くのは一日3回になっていたが

ビスコは、ちゃんと3回とも、ぷーるぷーると言っていて

ぷっぷっぷっ軍曹を卒業したのであった。


いっぽう、

「んっんっんっ」

という怒りの表現にも、その後すぐに変化が訪れた。


おしっこもウンコも自力で出来るのは分かっていたが

全部出しきっているか分からないし

いくら天才猫ちゃんといえ、そこはまだ赤ちゃん

私は離乳食が始まるまでは、、、と、とんとんしていた。


しかし、お嬢様ビッコちゃんは、それが気に入らない。

「自分で出来るって言ってるでしょーー!!」

耳も目もまだの頃から、いっぱしのローティーンみたいな精神だった彼女は

カンカンに怒り続けていた。


「んっんっんっ」


「あー、またびちゅはそんな怒ってー」


「んっんっんっ」


口を膨らませて怒っている。

「んっんっんっ」


「怒んないの」


「んっんっんっ んっんっんーーー」


「?」


「んっんっ んーんー んーうーうーうー」


「!!」


こうして、芋虫に毛が生えたような状態だったお嬢さまは

みなさんよく知る猫の唸り声を上げ始めたのであった。


大人になっていくんだなぁと思う反面、

自分が感じていたビスコの感情は間違っていなかった

そういう思いもあり、私は嬉しかった。


まぁ、この後、感情の激しい彼女の表現は

この“普通の猫らしい表現”をすぐさま乗り越え

喜びも怒りもメーター振り切っていくのだが

その話は、またそのうちに。


※この頃まで毛布を切り取って作った袋に寝ていた
ビスコとなっちゃん 「そろそろ起きようかな」

ビスコとなっちゃん 「あれ?誰か見てるよ」


ビスコとなっちゃん 「誰?」

ビスコとなっちゃん 「見に行ってみようかな」

ビスコとなっちゃん 「なんで写真撮ってんのかな」

ビスコとなっちゃん 「この袋はビーちゃんのですからね」

シイタケみたいな耳が可愛かったこの頃。

分厚くて、ケモケモの三角耳。

「この耳が薄くおっきくなっていくんだなぁ」

って、なんだか大きくなることがさびしく感じたりして。


この大きさの赤ちゃん猫って、最強の可愛さだ。

毎日、そう思っていた。