ケーゲルという指揮者は、キーンと冷たくてカラッと乾いた透明で澄んだ音を奏でる人であるまいか。Altus社は、氏の指揮したベートーヴェンの5番・6番(1989年の東京ライブ)を発売していおり、やはりそこにも「やるせなさ」というか「無常」が漂っている。
さてこのCDはコンピレーション・アルバムである。
アルビノーニの「アダージョ」、グリンカの「ルスランとルドミラ序曲」、エルガーの「威風堂々」などは特に気になる。
この「アダージョ」は私がもっているCDの中で最も無常を感じさせる曲である。
透明で冷たい響きを聴いてしまうとズーンと気持ちが沈むので、心配事があるときやネガティブな感情をもっているときは聴くのを避けたい。
一方「ルスランとルドミラ序曲」は細かい音符が明快に演奏され痛快である。
「威風堂々」はいかにも英国風で胸を張って歩きたくなる。
ただ直前に聴いた「アダージョ」の無常観が、ここにも残っているように感じられるのである。