
ヴァント氏は90歳で亡くなっているが、これはその約70日前の録音ということである。
「ザ・ラスト・レコーディング」と銘打ったこの録音は、98年のベルリンpoとのライブと比べると、かなり精密感に欠けるような気がする。
縦横が微妙にずれているように聞こえたり、リズムが流れるところが少なからずあって、氏らしくないのである。
反面といってはなんだが、ふわふわと軽快で力んだところがなく、重苦しさは皆無である。
たとえば、第1楽章の18分30秒からさきは静かで美しく、この録音は氏の「白鳥の歌」なのではないかと感じる。