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 アニメ作品に出演する声優さんがアニメの主題歌を歌う。
 

 実は、テレビアニメが始まった1960年代後半には、ごく当たり前のことでありました。
 テレビアニメの黎明期というと、本職の歌手から少年合唱団や流行歌手とそれこそ様々な人々が主題歌を歌っていたのですけれども、そのころには主演の声優さんによる歌というのもけっこう多かったわけです。

 その元祖が1965年の『ハッスルパンチ』「ハッスルパンチの歌」を歌った大山のぶ代 水垣洋子 久里千春で、もちろん登場キャラクター、クマのパンチ(大山のぶ代)ネズミのタッチ(水垣洋子)イタチのブン(久里千春)
 水垣洋子は初期のテレビアニメには欠かせない少女ヴォイスの持ち主で、初代のウランちゃんや「長靴をはいた猫」のチビねずみなどの声で有名。
 九里千春は歌手で女優。声ではないが『あばれはっちゃくシリーズ』のかあちゃん役。
 大山のぶ代は、二代目のドラえもんで有名ですが、ドラえもんを充てるまでは印象的なガラガラ声で乱暴さとやさしさの同居した主人公(江戸っ子気質のガキ大将)を演じさせれば天下一品の声優さんでした。

 それに続くのが四ヶ月後。
 『おそ松くん』(1966年)の「おそ松くんのうた」の加藤みどりと田上和枝。
 それぞれ、おそ松(加藤みどり)とチビ太(田上和枝)が歌っている態。
 実はこのコンビ。
 翌年の『ピュンピュン丸』では主演助演を入れ替えての出演となります。
 加藤みどりは、言わずと知れた『サザエさん』の「フグ田サザエ」(こちらは挿入歌の「レッツゴー・サザエさん」だけでだが、けっして下手じゃない)もなのですが、それ以前に、初代のおそ松くんも充てていたというわけです。
 最近はなんと言っても『改造!!劇的ビフォーアフター』の「なんということでしょう!」でしょうか?
 初代チビ太役の田上和枝も初期のテレビアニメには欠かせない人で、『ピュンピュン丸』のピュンピュン丸の声や『わんぱく大昔クムクム』ムクムムの声を充ててられます。
 また、メロンパンナちゃんの声優、かないみかさんのおかあさまでもあります。
 おなじく1966年には『海底少年マリン』の主題歌「ゴーゴーマリン」を歌ったのはマリン役の小原乃梨子。
 小原乃梨子といえば、タイムボカンシリーズの敵役。三悪の女頭目役で有名ですが、ミレーヌ・ドモンジョ(冗談ではなく、フランスの女優)をはじめ、シャーリー・マクレーンやジェーン・フォンダといった、小悪魔的で健康的なセクシー女優のアテレコを得意としています。

 翌年の放送開始の『パーマン』(1967年)で「ぼくらのパーマン」を歌ったのは、パーマン1号、須羽ミツ夫役の三輪勝恵。
 三輪さんは後にリメイクされた1983年版『パーマン』でも「きてよパーマン」を歌っています。

 『ちびっこ怪獣・ヤダモン』(1967年)の主題歌「ヤダモン」は主人公のちびっこ怪獣・ヤダモンを演じた、中島そのみが歌った。
 中島そのみは、元歌手志望で東宝の元祖三人娘(美空ひばり、雪村いづみ、江利チエミ)のジャンケン娘にはじまる三人娘シリーズの直系の後継作品「お姐ちゃんシリーズ」の主演の一人である「お姐ちゃんトリオ」のコメディ担当。
 当時としてはめずらしいベビーボイス(いまでいう「アニメ声」)の女優。
 三人娘シリーズやお姐ちゃんシリーズの映画については、同じフォーマットのアニメが存在しないこともあって、ここではあまり深く触れないようにしますが、1950年代から1970年代までプログラムピクチャーの一つのパターンでもありました。
 この作品は特撮方面で名の通った「ピー・プロダクション」のアニメーションで、マグマ大使の後番組。
 就学前だったわたしに「ちびっこ怪獣」という番組が始まると教えたのは近所のおにいちゃんで、こどもの怪獣が元気に暴れまわる着ぐるみ劇(ちょうど後の「チビラくん」のような作品)を期待していたわたしは、いきなりはじまったモノクロアニメに落胆したのはいうまでもありません(笑)

 『怪物くん』(1968年)の「おれは怪物くんだ」は白石冬美(怪物くん)大竹宏(ドラキュア)兼本新吾(おおかみ男)今西正男(フランケン)
 後年のカラーリメイク版『怪物くん』(1980年)の主題歌「ユカイツーカイ怪物くん」は野沢雅子(怪物くん)肝付兼太(ドラキュラ)神山卓三(おおかみ男)相模太郎(フランケン)を歌っています。

 翌年の『どろろ』(1969年)「どろろの歌」と『ムーミン』(1969年/1971年)の「ムーミンのテーマ」「ねえムーミン」を歌ったのは藤田淑子。
 藤田淑子は子役時代からの長いキャリアを持つ女優にして声優。
 やんちゃな少年の野沢雅子に対して、賢そうな少年を多く演じられています。

 錚々たる声優さんの名前が並びましたが、これらの歌を歌っている声優さんに共通していえるは、すべてその作品の主役(もしくは主役級)を演じてられるということです。
 しかも、ほとんどがそのキャラクタ―として歌っている。
 その証拠に「おれ」とか「ぼく」とかの一人称の歌詞が多い。
 すなわち、「主人公が歌う主題歌」ということがいえるわけです。
 このかたちは後に、1960年代末のアニメ歌手登場を受けて、1970年代以降はアニメ歌手が主題歌を歌う時代に入り、声優さんが主題歌を歌うことは少なくなります。
 主題歌はアニメ歌手が歌い、キャラクターの声は声優が演じるという分業制、もしくは専業化が顕著になっていきますが、そんな中でも、一部の作品では、主題歌を主要キャストの声優が歌うということも残っています。

、キャラクターの一人称の歌は挿入歌として、キャラクターソングに



 1970年代のアニメ歌手の時代を過ぎて後、再び「声優さんの歌う主題歌(主人公の一人称アニメソング)」が復活するのは1980年代に入ってから。
 モノクロ作品だった1960年代のアニメがカラーでリメイクされるようになってからになるんですが、1960年代のそれとなにが違うかといえば、声優さんがそのキャラクターとして歌うというものが少なくなって、「キャラクターをイメージした歌詞の歌を、そのキャラクターを演じる声優さんが歌手として歌うようになる」というところです。
 このあたりも、1970年代後半からのアニメブームに端を発する「声優のアイドル化もしくはアーティスト指向」によって生まれたものだと考えるべきもので、やがて主題歌の座を捨てて、キャラクターのイメージソング(キャラクターソング)へと姿を変えていきます。






 この
 このあたりも、キャラクターソングの萌芽でしたし、1970年代後半からのアニメブームに端を発する「声優のアイドル化もしくはアーティスト指向」によって生まれたものだと考えるべきものです。




ますが、『アンデルセン物語』のエンディングでは「キャンティのうた」を増山江威子、「ズッコのうた」を山田康夫とそれぞれのキャラクターを演じた声優が歌ってられますし、増山江威子は『さるとびエッちゃん』のオープニングを、「歌手として」歌っています。


 ほかには『小さなバイキングビッケ』のオープニング「ビッケは小さなバイキング」を栗葉子とザ・バイキング(他の出演声優さんたち)のみなさんが、『一休さん』のエンディング「ははうえさま」は、一休さん役の藤田淑子が歌っているというくらいで、アニメ歌手によるアニメソングの専業化が徹底していきます。

 「声優のアイドル化もしくはアーティスト指向」というのは、1980年代ころから顕著になりますがその萌芽は1970年代後半。
 声優さんがアニメのキャラクターから分離して、単独でアイドル化していく過程で生まれたものです。



 ここまで、主演級の声優さんがアニメの主題歌を歌った作品について言及してきましたが、最後に少し変わった作品をひとつ紹介しておきます。
 それは、『さるとびエッちゃん』(1971年)のオープニング『エッちゃん』
 歌っているのは増山江威子。
 ご存じ『ルパン三世』シリーズの峰不二子、『天才バカボン』シリーズのバカボンのママ、『キューティーハニー(初代)』の如月ハニーで有名。
 ちなみに現在は宝塚在住(ABC朝日放送ラジオ:「ドッキリ!ハッキリ!三代澤康司です」2010年10月3日出演時の情報)。
 『さるとびエッちゃん』の主人公「猿飛エツ子」の声を充てたのは野村道子(先代のしずかちゃんやワカメちゃん)で、増山江威子は声優として本作に参加していないというのも特異な例といえるでしょう。




 この「主人公もしくはキャラクターが歌う」タイプのアニメソングは、実はアニソン歌手の歌うアニソンと共に、アニメソングの王道ではないかと思うのです。