(TBS[報道特集」より)

「今、僕たちは勝利を目前にしている」ミャンマー クーデターから3年、最前線の若者たちが語った戦況の“変化”【報道特集】

ミャンマー 民主化求める戦い、戦況に大きな“変化”

楽隊の音楽とともに軍人に先導されているのは徴兵された若者たちだ。ミャンマーの軍事政権は2024年2月、突如18歳以上の男女を対象とする「徴兵制」の実施を発表した。徴兵制が突然実施された背景には、兵士不足があるとみられ、軍の焦りが感じられる。

軍によるクーデターから3年あまり。民主化を求める若者たちは、「PDF=国民防衛隊」と呼ばれる軍事組織を結成し、少数民族の武装組織とも連携を取りながら戦ってきた。多くの若者が、武器を手にするのは初めてだった。

その戦場で大きな変化が起きていた。2023年10月27日、「1027作戦」と呼ばれる一斉攻撃をきっかけに、民主派側が地方にある軍の拠点を相次いで占拠。

軍から奪った大量の武器を使って、攻勢を強めているというのだ。

「今は逆に私たちの方が攻めるように」戦場に3年 若者たちの変化

最前線の動きはどうなっているのか、連絡を取ってきた3人の若者は、いまどんな状況におかれているのか。ウィン・チョウさん、マティダさんを訪ねました。

2人はSNS等を駆使して若者たちを物心両面で支えています。「日本のおとうさんとおかあさん」、2人は若者たちにこう呼ばれています。

民主派側
「皆さんは包囲されています。私たちは撃つこともできるが、撃ちません。門まで出てきて下さい。何もしませんから、保証します」

これはPDF=国民防衛隊(民主派)が軍を包囲した時の様子です。呼びかけに応じて、負傷した軍の兵士たちが次々と投降します。

軍の部隊のリーダー
「私の部隊には85人の兵士がいた。私を含め、けが人ばかりで無傷の人は3人ぐらいしか残っていない。考える時間を30分間与えられたが、応援も何も来ないので部下たちのことを考えて投降した」

軍の部隊から脱走する兵士も増えています。

脱走兵が軍に電話をかけ、「もう部隊には戻らない」と伝えると…

軍の上司「どこにいるんですか?」
脱走兵「場所を教えることはできない。自由な場所です」
軍の上司「何を悩んでいるんですか?」
脱走兵「自由になりたい。国民に暴力を振るうのはもう沢山だ」

徴兵を逃れた若者が、続々と集まってきているのです。

アウンカさん
「(PDFの)他の地域の部隊にも新人がたくさん来ている。徴兵から逃げられないように軍が検問をしているが、それを突破してきた」

部隊によっては、千人規模の若者が新たに入隊しているといいます。新人たちは40日間の軍事訓練を受けます。部隊の士気はあがり、アウンカさんが得意の歌を披露することもあります。

アウンカさん
「感情が鈍ってきている。身近な仲間が命を落とすことも増えたが、泣くことができなくなった。この3年間で戦いに参加しているみんなが心に傷を抱えている。みんな3年間辛いことを経験しているので、感情が鈍っている。軍は徴兵した市民に軍服を着せ、僕たちと戦わせようとしている。僕たちはこれ以上、人を殺したくない」

この3年あまりで、民主派の若者や市民など5098人が命を落としています。

ウィン・チョウさん
「1年目の時は彼らは、軍に対して心配しているという顔と、疲れている顔をしていたが、今年3年になって、みんな強くなって、自信を持っていて明るくなっていて、(勝利は)もう俺たちだというのが出てきた」

「みんな我慢している」 都市部では軍による支配続く

3年前、軍事クーデターが起きたミャンマー。都市部は軍による支配が続いている。

ヤンゴン市民
「多くの人が困難な生活を送っている。(クーデター前に比べ)物価は3倍に上がっている。停電もしょっちゅう。きょうは午前9時に復旧したが、午後1時にはまた停電するそうです。以前は停電はなかったのに。あったとしても数分だった。暑いので辛い」

最近では徴兵制の影響も見え始めたという。

ヤンゴン市民
「軍は若者を強制的に連行している。半月前、2軒隣に住む出稼ぎで寿司の屋台をしていた20代の男性たちが連れて行かれた。隣の通りの若者2人は、徴兵名簿に名前が載り逃げ出した」

ヤンゴン市民
「彼らは武器を持っているから不満は言えない。何も言えず、みんな我慢している」

ミャンマーの人々は今も圧政に苦しんでいる。

ウィン・チョウさん
「日本政府はなぜ、同じアジアなのにもっと強く(批判を)できないの。今の軍を応援ではなくて強く批判すべきじゃないですか。その批判のひと言がないことが寂しい」

日下部正樹キャスター:
民主派が優勢なのは、元々、少数民族が反政府活動を活発にやってた地域で、まだまだ内戦の行方は見通せない状況です。ただ、現地からの映像を見ても、民主派・若者たちの士気が高いことは間違いないと思います。

 

日本の基本方針は、「状況を見守る」ということです。ミャンマーの人々は親日的な人も多く、裏を返せば期待も大きいわけです。このままでは、ミャンマーの人々の目に、「日本は何もしてくれない」と映ってしまうのではないかと心配しています。

 

ミャンマー映画「夜明けへの道」

 

 

 

 

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