ときどき『は?』と、思わず顔をしかめてしまうニュースがある。
   罪重き身勝手な殺人犯から、電車の下から出てこない人まで、世の中の罪人の意味不明さには呆れ果てる。

   そういう事件が最近増えているかどうか。統計学者じゃない自分には分からないし、様々な議論がなされるところではあるだろうけれど、一個人としての考察がある。


   循環器科病棟でも、メンヘラの患者さんはたくさんいる。けれど、循環器の病気をもつ若者は比較的少ない。


   そんな中での、特発性の心筋症を患う30代の患者さんの話だ。

   特発性●●型心筋症は、難病指定されており、不整脈や心不全で死に至る病気で、厳格な生活管理が重要となる。

   彼の人は、30代で罹患(診断)された。

   入院時、BMI:46。職業:引きこもりニート。
   そりゃもう『スゴイヤバい人が来た』と話題騒然だ。

   とりあえず、医師と看護師と薬剤師諸々の助力で、心不全の浮腫みまくっていたのを(脂肪が多すぎて分からないが)、10日で10kg除水して退院した。

   けれどその後、1週間で10kg増えて再入院。薬も飲まず、暴飲暴食の結果だ。

   まあ、30代で不治の病になったら、鬱になってしまうのは分からなくもない。
   私も側弯症で高校生のころから腰が痛い身だ。

   だけど相手は、昼夜問わずオンライゲームに勤しむ引きこもりニート。
   申し訳ないが、そんな人に『死にたい』とか言われても、『好きにすれば』と思ってしまう。だって他人だもの。


「前は働いてたんです、コンビニの工場勤務。付き合ってた人もいた。でも心不全になってから友達もいなくなった」


『そうか、大変だったんだな。でもあなたのその体型はどう説明するんだい?
   友達がいなくなったのは、病気のどのタイミングだい?』

   ……とは、よう言わない。点滴に牛乳入れて自殺されたら困る。


   ところで。
   日本のノーマル看護師は肉体労働者である。世間が思うような、『給料良い、安定雇用の勝ち組、だから性格キツい』ではない。底辺の糞な仕事をこなすために、プライドばかり高い阿呆の集団である。

   その最下層にいる私は『は?なんでこの人のために、私が心身削らなきゃならんの?まあ給料のためだけどね(笑)』と思う。


   日本に百万人いる看護師がみんなナイチンゲールのはずがない。そんな国は天国のみ。

   少なくとも私は、自分の生活に関係ない人の、人生の面倒までみたくない。
   もし彼の人が、教師とか農家さんとか家庭があるなら、『なんとか復帰して欲しい』と願い、熱心に話を聴いたかもしれないが。

  そりゃあ、工場勤務の方がいないと私のコンビニライフは成り立たないけれど、自己管理もできない元工場勤務の独身の人生に興味はない。どうでもいい。

   もちろん看護師として、鬱的なお話も聞かせて頂くし、存在の肯定もするし、メンタルフォローもせんこともない。でも他人だもの、社会不適応者だもの。


   こんな看護師が3割は固い、と勝手に仲間をつくってみる。女子か。



   とどのつまり。
   医療が進歩し、人権が唱われ、メンヘラも一個人として保護されて然る世の中となった。
   そうして、非生産的な人間が生き残るから、遺伝子が残るから、子どもに影響を与えるから、ワケわからん人が増えているのだろう。私含めて。


   私が自身に生きる価値がないと思っていても、恥ずかしげもなく生き永らえているのは、辛うじて『看護師』という社会的立場を確保することで、社会適応者のフリをすることに成功したからだ。
   全くもって、私は一歩間違えれば、人殺ししてもおかしくない側のメンヘラである。ただ正常な両親が大好きだから、彼らが心底困るようなことは避けるだけ。


   そんなメンヘラが思うこと。
   社会適応者のフリすらできないメンヘラが、(文字通り)税金食い散らかして生き残る人権ってなにさ。生物学上ヒトなら保護されて然るべきなんか。

   その税金を、まだ真っ白な子どもたちのために、私は使ってやりたいよ。なんだよ1日1食しかない家庭の子どもって。児童館つくって保護したいわ。
   金がないから子どもが産めないなんて夫婦がいるのは変だ。理知的な夫婦の子がないなんて、人類の進化に関わる。

   それすらも国の少子化政策の一辺なのだろうか。まじ子宮頸がんワクチン糞。

    ……と、2ちゃんねる的な発想とともに、私は看護師として働いている。



   あぁ、なんて不毛な場所なんだろうか病院て。


   社会的弱者の保護を悪いとは思わないが、『なんで?』と思う側面が酷すぎる。
   福祉が整うことは、歴史的にみて、人類の衰退の原因となるに違いない。弱いものは死んでいく自然の摂理が正しいと思ってなにが悪いのだろう。

   それを公に発言することは、叩かれて当然だとは理解するけれど。



   あなたが死んでも誰も困らない。
 


   そして、メンヘラの私は明日もメンヘラに感謝されながら仕事をする。