最後の真実 リズ・アレン ★★★
元ジャーナリストのデビュー作ということで、
少し不安を覚えたが、装丁の雰囲気が好みなので購入。
古き良き名作ミステリもいいけど、
最近の海外新人作家の文庫は、
ついついつられて買ってしまう。
2つ違う時代・人物の話を交差させながら、という手法は、
よほどの技がないと読ませにくいものと思う。
チャレンジ精神や、努力は買うが、
まだまだ年季が足りず・・・といった感じで、
前半読みにくかったし、
全体の3分の1を読み終えた時点で全く面白くなかったので、
「はずれを引いちゃったかしらん?」と思ったが、
真ん中まで読み終えた頃にはなんとか面白くなってきたかなという、
スロースターターな作品。
読んでる時分は面白い・気になると、読み進められるからいいのだけれど、
よくよく考えたら、
主人公を窮地に陥れた犯人の小さな動機と、大きな計画に
ちょっとありえないよなぁとも思ったり。
というか、そこまで出来る人ならば、
他人を陥れなくとも、成功してたはずだしねぇー。
ロマンスも取ってつけたような感じだし、
衝撃の!とうたわれている結末も、
沢山のミステリを読んでる人にとっては、
「どこかで読んだような」ともなりかねない。
それに、元記者というだけあって、
小説というよりも、記事を読んでる感覚を受ける説明的な部分も多い。
そういう意味では、粗いし、読みにくいし、わざわざ買って読むことを
万人に薦められる作品ではないかもしれない。
もっともっと秀悦な海外ミステリはいくらでもあるし、
同じ海外新人作家で平積みの話題作ならば、
やはりジリアン・ホフマンの「報復」の方が、
売れただけのことはあるよね、と思えるような、
キャッチーな万人受けするつくりだったな。
と、ここまでけなしたけれど、
プロットはよく練れていると思うし、
「どうなるの?」と、ぐいぐい読ませる力はあります・・・ちょっと荒っぽいけど。
(同じ記者出身の作家だったら、ヴァル・マクダーミドの方が全然巧いけど。)
多すぎる登場人物がつながっていくところは実に見事に描いていましたし。
そういう意味では、いろいろと考えさせられる小説ではあります。
仕事で成功を勝ち取ったバリキャリの女、
不幸な子供時代ゆえに、成功には金が必要と割り切って女を武器に裏の世界へと落ちていく女、
強制的に決められた結婚相手のおぞましい暴力に耐えるしかない女、
他にも、マフィア、ジャーナリスト、官僚など、
私のボキャブラリでは上手く表現しきれないけど、
とにかく沢山の人々を描いているのだけれど、
それぞれのキャラ設定は、
これだけ多くの登場人物を扱いながらも、
とても上手くまとめられていたと思うし、
レイプや、家庭内暴力、セクハラなど、
女性にとって考えさせられるテーマが、
実にキワドイ描写で描かれてるので、
女性ならば、ミステリ好きじゃなくとも、いろんなことを考えさせられる作品。
そんなわけで、根っこの才能はある作家さんと思うので、
3作後くらいになったら、
成長を期待しつつまた読んでみたいと思います。
いくら面白くても、読みにくい&面白くなるまでに半分っていうのはシンドイので。

