皮膚科の門前薬局にいるとよく見かける漢方、十味敗毒湯。
梅雨などの湿度の高い季節に症状が悪化する皮膚病に適します。
実はこの十味敗毒湯は荊防排毒散という処方を基に日本で考えられた漢方薬です。
なので桜皮(オウヒ)という中国ではあまり使われない生薬を使っています。
この十味敗毒湯は「外感風湿熱」という皮膚病によく使われます。
「湿」という言葉が入っているように湿邪による皮膚病に使われます。
なので梅雨などの湿度の高い季節に症状が悪化する皮膚病に適します。
臨床ではニキビや軽度の化膿性皮膚疾患に使われているイメージがあります。
しかしながら十味敗毒湯は熱邪を取る力が弱いので赤みや熱感の強い皮膚病には少し不向きです。
なので皮膚病でも軽度であり、熱感や赤みが強い場合は他の漢方薬と併用したりもします。
余談ですが、写真のツムラ十味敗毒湯には桜皮が使われていません。
桜皮の代わりに樸樕という生薬が使われており、本来の原書の十味敗毒湯とは少し異なる配合になっています。
これは時代と共に改良されていったのですが、現在でもコタロー漢方さんは桜皮を使っています。
個人的には原書通りの十味敗毒湯が好きです。
なにはともあれ梅雨時期に悪化する皮膚病には十味敗毒湯が良いかもしれませんね。