富本憲吉作品の真贋・山野草の庭 |  菫工房  杉瀬公美のブログ

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左の書は、富本憲吉先生筆 
知人から寄贈いただき、工房ギャラリーに掲げています。

いつも見ていただいてありがとうございます。
菫工房の庭に咲く四季の花。特に山野草
そして見たこと聞いたことお知らせなどを書いています。

知り合いからこんな作品の鑑定相談を受けました。









どちらも富本憲吉の作品ということですが、上のカーネーションの絵の皿は裏のサインから1932年(昭和7年)のものということになります。土は磁器では無く、1919年(大正8年)の作品によく似た作品があり、これは磁器です。構図ともこれにそっくりですが葉に勢いが無く、葉の付き方の描き方が今一つです。それに、1919年の作品の後にカーネーションの絵が作品として残っているのは私の知るところ1941年の磁器色絵作品になりますが、絵も簡略化されたものではありません。どうもこの1932年の作品は、1919年の作品写真等を見乍ら真似て作られたような気がします。サインにしても富本先生の数あるサインの中でも真似しやすいものです。


掛軸の方は、大和安堵風景ですが、全体に線が細く勢いがありません。藁棒塔や、梨の木の描き方も少し違います。絵の一部に憲吉の字がが入っていますが、憲の字が違うように思います。落款は大抵「富」です。これは憲の字ですが、この様な落款は見たことがありませんし、憲の字の心が四つの点になっています。1923年(大正12年)以前の陶芸作品の裏のサインは憲の字の心が西暦年号で入っています。それを年号とわからずに真似て作ったようなそんな感じがします。


以上の点で、専門家でもありませんので、自信があるわけではありませんが、今のところ私は2点とも贋作ではとご返事いたしました。


山野草の庭


シロバナマンジュシャゲ



シュウメイギク