すみれデス![]()
前回
からの続きデス。
仕事が終わったら、
元カレP
に、会社の駐車場に来てもらった。
心の中で、主任
に謝った。
ごめん、主任
・・・・・
あたし、どうしたらいいんだろう![]()
P
の車に乗り込む。
「すみれがいる。ホンモノのすみれだ
」
アホみたいなコトを言って、P
は
喜んでるし![]()
そんなこと言って、
あたしはずーっと待ってたのに、ほったらかされてて、![]()
それで主任
と付き合うことになって・・・・![]()
とうにあたしへの気持ちなんて
ないものだとあきらめたのに。
時間をかけてあきらめようとずっとしてきたのに。
P
は、話し始めた。
「俺はカンペキを求めていたんです。
自分はカンペキにできるって思ってたし
すみれにもそういうのを求めちゃって。
自分の思うとおりにならなくってダメだったんです。
でも、俺にも弱いところがたくさんあって
人のニガテなことも認めなきゃいけないって
受け入れて、助け合わなくちゃいけないんだ。
そういうのが分かったんです。
俺にはすみれしかいない。
ずっと悩んできて、分かったんだ。
こないだすみれに触ったとき、
そう思ったんだ。
俺たちは似てるけど、
それで分かった気になっちゃダメだったんだ。」
あのP
が、今まで一生懸命に悩んできたのが分かった。
本当に必死だった。
「俺はすみれが本当に大好きだ。
前にすみれも言ってたよね![]()
俺への気持ちはずっと変わらないって」
「言ったよ」
「今も変わらないか
」
P
への気持ちは変わらない。
ただ、日常から薄れただけで・・・・。
「・・・・・変わらないよ」
「すみれ。
俺は家(実家)を出る。
部屋を借りて、いっしょに暮らそう」
言葉が出てこない。
痛々しいほどに暴走しているP![]()
![]()
「今日だって、指輪を買ってココに来ようと思ったんです。
でも、二人で選ぼうと思って。
ビックリさせようと思ったけど
やっぱり二人で選びたい」
以前P
は、あたしが将来のことを話そうとしても
神経質になって避けられただけだった。
あたしは、結婚云々ではなく、
気持ちが聞きたかっただけなのに・・・
理由は、
実家が上手く行っておらず、
両親を放っておけないから、ということだった。
会社も不景気で大量に首切りがあったし、
P
にしてみれば未来のことが分からないのに
約束なんて出来なかったのかも。
自分自身すら不安定で。
その思いは、
あたしの主任
へのはがゆい思いと似たものだったかも。
心から、飛び込んでいけないもどかしさ。
気持ちとはウラハラに
状況に阻まれるあの感覚。
自分自身すら、なんて遠い・・・。
「そんなこと急に言われたって
今すぐに返事できないよ![]()
あたしの状況分かるでしょ
」
「状況って・・・・なに・・・・壁があるってこと
」
「今はあたしを支えてくれる人がいる。
その人にだって、心がある。
あたしにだって心がある。
はいそうですかって、今さら一人にできないよ」
「また前と同じことを言うんですね・・」
「それに、“お家のことを放っておけない。
俺がなんとかしなくちゃ”
って、ずっと言ってたじゃない![]()
そのときから変わってるの![]()
なにか変わったの
」
「家のコトをやっていたら、
いつまで経っても自分のコトができない。
俺の自由はないんです。
結婚しても実家に住もうなんて最初から思ってないし。
どこか静かなところで、二人だけで暮らしたい・・・。
都会じゃなくて、自然のある、あんまり人のいないところで
すみれが笑顔でそばにいてくれれば
誰がなんと言おうと俺がすみれを護るから」
矢のように降り注ぐ
P
のすさまじいアプローチの言葉の数々。
どうしちゃったの![]()
「すみれはどうしたいの
」
以前、主任
にも同じ質問をされたね。
あたしは混乱してて答えられない。
黙って言葉を探していると
「今度はすみれが喋れなくなっちゃったんですね
」
P
は苦笑いした。
「あたしは、また同じ事を繰り返しそうで怖い。
結局、男性は信じられない、ていうか
違うんだなって事を思い知らされたよ。
だから、もう期待しない。
元々違うんだから、仕方ない。
それだったら、
あたしを必要としてくれる人に
あたしと一緒にいて楽しいって言ってくれる人のそばにいるだけで
ここにいていいんだってようやく安心できるようになったの。
その人がいなければ、こやってP
と向き合うことは出来なかったかも。
それを、元気になったからといってぷいっと
一人ぼっちにさせられない。
悲しい思いをさせているのを、見るのが辛い。」
するとP
は強く言った。
「“ヒト”じゃなくて、“自分”だろ![]()
ヒトのコトなんか考えてたらなんにも出来ないよ・・」
そこがあたしの悪いところなんだな。
こういうのを、八方美人というんだろうね。
でも、
P
の思いを聞きたかった。
それで、判断しようと思った。
「俺は、失った日々を
これから少しずつでもいいから取り返したい」
次の日の
夜明け、
また目が覚めた。
寝たまま天井を見ていると、涙が止まらない。
主任
の優しさを思い出し、
P
の必死の言葉を思い出し、
定まらない気持ちが苦しかった。
久しぶりに、外に出て歩いてみることに。
気持ちにゆとりがないと・・
何やってもダメになる気がした。
どんどん朝日が昇って、
景色の色は目まぐるしく変わっていく。
しばらくそんな風景をぼんやり見ていたら
くるくる回転しながら近づいてくる。
少し、先月亡くなった家の犬の横顔に似てきた。
横目であたしをちらりと見た。
心配して、様子を見に来たのかな![]()
名前を呼んでみたけど、
返事が返って来るわけではなく・・・・・
あいつは、本能の赴くままに生きてたな・・・・![]()
悩むことなく、自分の思いに忠実だったな(笑)。
そして、ふと思った。
主任
に対して、
少しでも“かわいそうだから”という考えで付き合ってるんだとしたら
それを本人が知ったら嬉しくもなんともないだろう、って。
最初から主任
は主任
、
あたしがどうこうできる立場じゃない。
お互いに必要だから
一緒にいるだけだ。
元カレP
に対しても、義務で付き合う必要なんてない。
あたしが、自分の気持ちで決めなくちゃいけないんだ。
当たり前なことだけど
あたしはとても、大事なことを後回しにしている。
そんなコトを考えながら家に帰ってきた。
続く

