どうも。

 

読書感想ブログです。

 

今回は、有川浩さんの「明日の子供たち」という作品です。

 

人生の先輩からのおすすめ本でお貸しいただきました。

 

児童養護施設の子どもたちをクローズアップした作品です。

 

かなり良かったですね。

最後の方は、泣いてしまったので、自宅で読んでいて良かったなと思った次第です。

 

あらすじとしては、

テレビのドキュメンタリーを見て、児童養護施設の職員を希望し、

着任することになった主人公は、

一見人懐っこい子供たちの洗礼を受けることになる。

 

「かわいそう」と思われることを極端に嫌う子に対し、

あからさまにそういう態度で接してしまうあまり、壁を造られてしまう。

 

児童養護施設にいる子供たちは、

両親を亡くした子や、両親に捨てられた子だけではない。

両親に、子育ての能力がなく、

児童養護施設に来て良かったと思っている子だっている。

 

そのことを理解する中で、

子供たちとの接し方を学び、成長していく主人公のお話です。

 

児童養護施設と言っても、

職員は親ではない。

巣立っていく子供たちが、路頭に迷わないように全力で将来を考えはするものの、

施設を出た後のことまで面倒を見ることができないのが現実です。

 

現在は、大学に行くのが当たり前の世の中なのに、

児童養護施設の子供たちが、大学に行くという選択をするためには、

相当な覚悟がないかぎり、認められない。

そんな現実に立ち向かいます。

 

そして、施設を出た後、

気軽に帰ってこれる実家のような場所がないのも現実です。

 

そういう目的のない施設を、費用の無駄として認めようとしない大人たちに

投げかけられる、施設の子供たちの言葉は、重く突き刺さりました。

 

 

親と暮らす子供は、真剣に考えなくても、

”とりあえず大学に行く”という選択肢を取ることができる子も多い中、

児童養護施設の子供たちが、気軽に大学に行きたいということができないのは

辛い真実だと思いました。

 

そして、施設の子供たちへの偏見を、リアルに描いている作品だとも思います。

 

大人は、子供の意見をなかなか簡単には聞いてはくれません。

でも、子供はいずれ大人になります。

子供は、明日の大人たちです。

 

真剣に語る子供たちの意見や気持ちには、

頭ごなしに否定するのではなく、

きちんと一人の人間として向き合って接することが大切だと感じました。

 

そしてそれが、

施設の子供であろうと、そうでなかろうと関係ないと思わせてくれる作品でした。

 

良い作品に出会えたと思いました。

 

それでは。