歌のことで、また思い出したことがありました
小学校の校長先生のお話で
たぶん、音楽会の時だったと思います。
校長先生は、歌の持つ力についてお話してくださいました。
海の事故で遭難された方が、ほんの一枚の板切れにつかまって
一夜を過ごし、救助された。
その人は、「絶対に助けが来る」と信じ
一晩中、歌を歌っていた、というお話でした。
すごいなあ、ずっと歌を歌っていて助かったんだと
小学生のいらはは、思ったのですが…。
これが、思わぬところで役立ったことがありました。
まだ20代だったでしょうか
高校時代のお友達が、里帰りしたから遊びにおいで、と
誘ってくれました。
高校生の時は、近くに住んでいたのですが、
実家が引っ越してしまい、そこまで行かなくてはなりません。
公共交通機関はとても不便で、車の方がずっと楽な所です。
「高速使えば、2時間足らずだよ。
私は0歳児の赤ちゃん連れて運転した道だから、
簡単、簡単。
いらちゃんも、その道で来てね」とお友達。
私も、気楽に「オッケー」と言ってでかけました。
開通して間もない高速は、きれいで快適でした。
普通の道を運転している時はよかったのですが、
車線が一車線になっていきます。
「なんだろうなあ」と思っていたら
「ん」
「トンネルだ」
「」
「対向車が来るけど、どういうこと」
その時は、呼び名も知らなかった対面通行でした。
開通間もなかったので、トンネルだけは上下線別々でなく
対面になっていたのです。
高速はもともと苦手、トンネルは特に嫌い
なのに
対向車がポールの向こうに連なっています。
前の車について行こうとアクセルを踏むのですが
怖い気持ちもあって、だんだん離されてしまいます。
こうなると、自分が先頭になり、
これはこれで、…すごく怖い
彼女は「簡単」でも、私はこわいよ~
そうだ歌うしかない
わ~た~し~は~~
ぜ~った~い
だ~い じょ~~ぶ~~
な~ん に~も こ~わ く~な い~~~
全然大丈夫でなくて、とても怖いのに
でたらめな節に、でたらめな歌詞をつけて
頑張って、歌って、歌って、歌って。
いくつものトンネルのいくつもの対面通行をなんとか
乗り越えました。
帰りも、頑張って歌ったっけ。
無事に帰ってこれて本当に良かったです
そういえば、今でも…。
高速で追い越しする時に、歌うことがあります。
もちろん、今歌うのはちゃんとしたメロディのちゃんとした歌です