2020年発行。

いとうみく氏は「カーネーション」「羊の告解」等で心に残る作家である上、この作品は2021年中学入試で頻出された話題作だったので、是非読みたいと思いつつ、どこも貸し出し中でなかなか手に入らず、、この度やっと次女が学校図書室で借りてきてくれました。グッジョブ。

 

期待通り面白く、一気読み。

事故による失明という重いテーマを扱っているのだけれど、男兄弟っていいなぁ〜、とか、走るの苦手だけど走ってみたいな〜とか、いろんな思いがわき上がってきて、読後感は爽やか。登場人物の中で唯一母親がイケテナイキャラだけど、出来の良い兄の方を可愛がってしまう、どこにでもいるふつーの母親像なのかも知れない。

 

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「身内だから、家族だから、兄弟だから、だからわかりあえるっていうのは、幻想だと思う」

 

「家族って、案外一番遠いのかもしれませんね」

 

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この母親は16年以上母親業をやっていて、息子達の本心を全く理解していない。と非難するのは簡単だけど、自分も娘達の本心など分かっていないかもしれないし、そもそも理解するなんて不可能なのかもしれない。母親だから何でも分かっているべきとか、一番良く知っていて当然とか、そんなものは幻想だと思えば気が楽になる。

分かっていないのに分かった気でいるのが一番始末に悪い。

 

分からないけど、分からないなりにやっていく。しかない。