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3 憲法の分類

伝統的な分類

 憲法の意味の理解を助けるために、憲法の分類について付言しておく。
 従来、憲法は、①形式の点からして、成典か不成典か、つまり成文の法典が存在するかどうか、②性質の点からして、硬性か軟性か、つまり、改正が単純多数決で成立する通常の立法の場合と同じか、それよりも難しく、特別多数決(三分の二、ないし五分の三)、またはそれに加えて国民投票を要件としているかどうか、③憲法を制定する主体の点からして、君主によって制定される欽定憲法か、国民によって制定される民定憲法か、君主と国民との合意によって制定される協約憲法か、という区別などがある、と説かれてきた。

 しかし、このような伝統的な分類は、必ずしも現実の憲法のあり方を実際に反映するものではないことに注意しなければならない。たとえば、①については、イギリスのように単一の成文憲法典をもたない国もあるが、イギリスでも、実質的に憲法にあたる事項は多数の法律で定められており、基本的な事項は、実際には、容易に改正されない。ところが、②にいう硬性の程度が強い憲法でも、実際にはしばしば改正される国は少なくない。

 また、憲法の定める国家形態に関する分類として、①君主が存在するかどうかによる君主制か共和制かという区分、②議会と政府との関係に関して、大統領制か議院内閣制かという区分、③国家内に支邦(州)が存在するかどうかによる連邦国家か単一国家かという区分、なども伝統的に説かれているが、これらも憲法の分類自体としてはそれほど大きな意味をもつものではない。たとえば、君主制でも、イギリスのように民主政治が確立している国もあり、共和制でも、政治が非民主的な国は少なくない(したがって、民主制か独裁制かという観点からの分類の方が意味がある)。

機能的な分類

 このような形式的な分類に対して、戦後、憲法が現実の政治過程において実際にもつ機能に着目した分類が主張されるようになった。たとえば、レーベンシュタインという学者は、①規範的憲法、すなわち、政治権力が憲法規範に適応し、服従しており、憲法がそれに関係する者すべてによって遵守されている場合、②名目的憲法、すなわち、成文憲法典は存在するが、それが現実に規範性を発揮しないで名目的にすぎない場合、③意味論的憲法、すなわち、独裁国家や開発途上国家によくみられるが、憲法そのものは完全に適用されていても、実際には現実の権力保持者が自己の利益のためだけに既存の政治権力の配分を定式化したにすぎない場合、という三類型を提唱して注目されている。

 このような分類は、主観的な判断が入る可能性がある点で問題もあるが、立憲的憲法がどの程度現実の国家生活において実際に妥当しているのかを測るうえで有用なものであると言えよう。