私の46歳の誕生日の日。
夫の生検の結果を聞きに行く日だった。
鼠径部のシコリがだんだん大きくなり、歩くのにも支障が出だした。
検査も何回もしたし、病院にも定期的に通っていたので、「悪性」とか「がん」とか、まったく考えていなかった。
手術で取ればまた普通に歩けると思ってた。
生検前の診察では、デスモイド腫瘍かもしれないと言われていて、色々調べた。
大変な治療と闘病だけど、頑張って行こう!って話しもした。
なんなら、「こんなにしこりが大きくて、癌ならもう死んでんじゃん!」とか2人で笑ってた。
バカだな。
私の誕生日。
私は仕事があり、夫は一人で病院に行く予定だった。
仲良しのパートさんが、一緒に行っておいで!って仕事の時間をずらしてくれた。
それなら、誕生日やけんランチでもしてこよう!なーんて、呑気に出掛けた私達。
「もし癌ですって言われたら、ガーンって言わなかな?」
「そりゃ、ないわ〰️」
「大学病院、待ちが長いけん、いややね。」
そんな話しをしながら、病院に向かった。
やっと夫の受付番号が表示され、診察室に。
あれー、先生?って空気。
テーブルの紙に、先生が色々書き出した。
「脱分化型脂肪肉腫、悪性の腫瘍です。」
先生は、そう言った。
その時夫は、
「ガーン」って言おうとした。
言おうとしているのが分かったので、腕を引っ張った。
私の顔を見て、言うのを止めたみたいだった。
何がなんだか分からない、聞くことも分からない。
とにかく手術は出来ないので、すぐに抗がん剤治療を始める事、あまり良くない状態だ、と言うことは分かった。
診察室を出て、夫は「お前泣きよるけん、ガーンって言えんやったやん。」って笑った。
私は本気でがんだとか思ってなかった。
でも、夫はもしかしたらって思ってたのかもしれない。
食欲はなかったけど、回転寿司に行った。
「俺ががんになったのは仕方ない。
自分一人なら泣かんけど、お前が泣いたら 俺ももらい泣きするやん。」
って、泣きながらお寿司を食べた。
その時に、私は夫の前では泣かないと決めた。
そして夫が亡くなるまで、夫の前ではほとんど泣かなかった。
夫の前では、いつでも笑っていたかった。
夫と私は同じうまれ年。
今年の誕生日で夫より2歳年上になりました。