「足踏みしていた景気が、やっと上向き始めた」。毎日新聞が実施した景気アンケートの結果からは、こんな企業の安堵(あんど)が読み取れる。堅調な輸出で業績を伸ばす自動車、素材メーカーに引っ張られるように、6割近い企業が設備投資を増やす見通し。景気を動かす“主力部隊”の個人消費も、デジタル家電の好調な売れ行きなどで明るさが増している。ただ、原油高騰や政局不安など懸念材料もあり、企業は警戒感を解いていない。【谷口崇子、工藤昭久】
■設備投資に動き
 企業が設備投資増強に向け大きくかじを切った--。今回のアンケート結果が示す最も大きな変化だ。
 販売の増加や将来の受注に備えて、生産設備を新設したり、拡張したりするのが設備投資。企業が設備投資に積極的になれば、取引先などに資金が回り、新たな生産や雇用などが生まれて、好循環の歯車が回り出す。
 05年度の設備投資額を04年度実績より「増やす」とした企業は全体の59%に上った。21%にすぎなかった昨年12月時のアンケートから、半年余りで景気の回復感が企業に広がったことがわかる。