【第26話】覆してやりたい衝動 | 宇宙の法則を信頼したらW不倫が始まり彼女と再婚した男の回想録

宇宙の法則を信頼したらW不倫が始まり彼女と再婚した男の回想録

このブログでは、2014年春に出逢った一人の女性との間で、
W不倫が始まり再婚するまでの、僕の人生を綴った回想録です。

婚外恋愛についても触れていますので、不快に思われる方は、ご遠慮下さいませ。

【2014年6月中旬の事】


彼女とお別れをしなければという必要に駆られ、

僕は思い切って、彼女にLINEを送った。


別れたくないという未練もあるけれど、

この時点での気持ちは、離婚しないほうに分があった。

割合としては、7(妻):3(彼女)というところか。


別れ話も、LINEだけで、終わらせたい気持ちもあったけれど、

なんだか高次元からのお導きもあったことから、

直接会って話すことにした。


彼女に会う日程のオファーを打診しようとしたら、

『今日、会う時間取れないかな?』

指が勝手に、そう送っていた。


いやいや、都合良く当日いきなり会えるわけないじゃないか、とか、

彼女が俺に会ってくれるかどうかも微妙じゃないか、とか、

後から不安にかられつつ、返事を待っていると、


『え?今日?』


と返ってきたので、


『会って直接話がしたいから。』


と伝えると、


『・・・わかった。』


と、返ってきた。


これは、宇宙の流れに乗っているのかもしれない。

・・・そう感じた。


彼女は、明らかに、別れを予感しているのがわかった。

僕も、そのつもりだったけれども。


急いで身支度をして、家を飛び出した。



待ち合わせしたカフェに到着した。

彼女は先に入って待っているのが見えた。


以前は、逢瀬の後、時間がある時に何度か寄ったことのあるカフェ。

おしゃべりをして、笑い合って、驚かせて、喜ばせて・・・

楽しい想い出の詰まったカフェ。

初めて二人きりで会った時も、このカフェだった。


(・・・あの時はまだ、好きになる前だったなぁ。)


この時ばかりは、中に入る足取りが、とても重かった。



「・・・お待たせ。」


「・・・うん。」


店員にオーダーした後、彼女のほうから、すかさず切り出してきた。


「実は、私も一つ、言わなければいけないことがあるの。」


「・・・うん、何?」


「旦那に、離婚を取りやめてもらったの。」


「・・・そっか。」


「私の心が、死んでしまいそうだから。」


「・・・そっか。」


「だから、私も、澄龍君のことは、責めることはできない。」


「それで当然だよ。君は悪くない。」


「生活のため、仕方なく。自分の身を守るために。」


「わかったから。悪いのは僕のほうだから。」


「・・・」


「・・・」


彼女は律儀な性格なので、

自分自身に都合の悪いことは、早く吐き出してしまう性質だ。

だから、自分自身の離婚撤回も、さっさと伝えたかったのだろう。


そして、彼女を見ていて、一つ、察知したことがあった。それは、

『彼女は僕に対して、好きという感情を、抱いていないかもしれない。』

ということだった。


「・・・私達は、もう、無理だよね。」


そう言われた時、心の中の、もう一人の自分が囁いた。


『そうとは限らんぞ。』


「いや、そうとは、限らないよ。」

(ん?)


「・・・え???」


彼女は驚いた。


なんだか、心の声につられて、口に出してしまったけれど、

僕は驚きを隠していた。


僕は、なんだかわからないけれど、

覆してやりたい衝動に駆られてきたのだ。


彼女の顔を見て、彼女の雰囲気を感じ取って、

僕の中の何かがどんどん変化し続けていた。


この衝動が何なのか。

お冷を口に入れ、心を落ち着けて、自分の心の中を観察してみた。


『お前は、どうしたいんだ?』


『気付いているはずだ。』


(あぁ・・・もう容赦がない。)


『怖がっているだけだ。』


(そうだ、怖がっているだけだ。)


『彼女の愛は、どんな愛だった?』


(無条件の愛。)


『彼女を選ぶと、何が学べるかと言うと?』


(無条件の愛。)


『お前に欠如しているものは?


(無条件に愛すること。)


そう、これまでの僕は、愛される保証のある世界でしか、

愛を伝え表現することが出来なかった。


自分から愛して見返りがなかったら、バカを見ることになるし、

一人で調子に乗ってるのを、後ろ指指されるのが、怖かったのだ。

相手が愛してくれるから、自分も相手を愛すことしか、出来なかった。


『条件付きの愛』の価値は、どんなものかは、

既に身を持ってふんだんに体験済みだった。


みじめな想いをしたくなかった。

かっこ悪い想いをしたくなかった。

格好良くスマートに生きていきたかった。


注文した紅茶が届き、カップに注ぎ、口に運び入れた。

熱い紅茶の温度とは対称的に、気持ちが落ち着いていった。


(彼女を選択して、無条件の愛を、ここで学びたい。)


『諦めたら、それで終わりだ。』


(確かにそうだ。)


僕の進みたい方向性が転換した。

僕の望む方向はここだと感じた。

心の割合としては、6(彼女):4(妻)。

メーターも逆転していた。


そして僕は、決断して、彼女に告げた。