一条はゆっくりとハンドルを切って公園前の広い駐車場に入っていく。
「ここは?」
「コーヒーでも飲もうかと思ってね。ただしインスタントの缶コーヒーだけど・・・」一条はおかしそうに口元を緩める。
一条は車を降りて助手席のドアを開けた。千秋は口元を緩めたままの一条を助手席から見上げる。
「良いお天気だし、公園を散歩するのはどうかな?」
公園の木々は紅葉を始め、風に吹かれてはらはらと枯葉が舞い、木の周りや根元には枯葉がまばらに散っていた。公園に入るとベンチが程よく配置され、木の下のベンチでは木漏れ日がゆらゆらと揺れている。まるでそれは手招きをしているようにも見えた。一条も同じことを考えているらしくそのベンチを指差す。
「あのベンチで座って待っていてくれ、コーヒーを買ってくる」
千秋はゆっくりとベンチに近づき腰掛けて一条が来るのを待った。昨日はこんなことになるとは思っていなかった。いつもはそばにいられると落ち着かない気持ちにさせられていたのに、今は彼の姿が見えないと不安な気持ちにさせられる。
公園に入る手前に自販機が仲良く二つ並んでいた。木の影になり一条の姿はまだ見えない。私を残して帰るような人ではないとわかっているのに・・・。そう考えていると背後から一条が現れた。千秋は腹が立つどころか安堵している自分がおかしくて思わず笑ってしまった。
「笑うのか?驚かそうと思ってわざわざ回り道をしてきたのに・・・」
一条はベンチに座って笑っている千秋を見て空を仰ぎ見る。彼は空を見上げながら頬が緩むのをどうしようもできなかった。いつもとは違う彼女の一面を見たようで、言いようのない満足感が彼を満たしている。
「おかしい・・・。一条さんでも、こんな子供じみたことをするのね。ぷ!」千秋は再び笑い声を上げる。
「そこまで笑わなくてもいいだろう」一条はベンチに座りコーヒーを差し出す。
「だって・・・。葉っぱをくっつけているじゃない。いつも隙がなくて塵ひとつ服につけないような人が・・・。そういう一面もあるのね。まるで違う人みたい」
千秋のその言葉に一条は顔を曇らせ、一瞬にしてあたたかく柔らかな笑顔が消え失せた。
「それは君が私を見ないようにしているからさ・・・。最初の出会いがまずかったとは思うが・・・。私がどういう人間なのか君がいいように解釈し、勝手に決め付けて腹を立てていた。そうじゃないか?」
一条はコーヒーを両手で包み前を見つめる。千秋ははっとして一条の横顔を見た。
バイクの男がどういう人間なのかと勝手な想像を膨らませて、正体がわかると想像していた男ではないことがわかって失望した。それは勝手な思い込みに過ぎないことはわかっていた。それなのに私はバイクの男が一条であることを認めたくなかった。
「今でも君はたとえ違う状況にあっても、私を簡単には受け入れようとはしないだろう」
「私・・・」
「強要するつもりはないから安心してくれ。コーヒーが冷めるといけないから、さあ飲んで・・・」
どう言えばいいのだろう。今は何を言っても嘘に聞こえるだろう。この人は待つと言ってくれているのだ。これ以上こじれるような危険を冒したくない。成り行きに任せるしかないかもしれない。
「君の話を聞こうか・・・」
せっかく自然に振舞えると思っていたのに、また振り出しに戻るのかと思うと千秋は気が重かった。
「実は私たち、脅迫状のことを神尾さんに話すことにしたんです。このままではいけないからと三人で話し合って決めました。本当はあなたに相談するのが筋だとわかってはいたけど・・・」
「彼に話してしまった。すでに過去形なんだろう?」
「ええ・・・。ごめんなさい」
「予想はしていたから、聞いても驚かないよ」一条はごくりと一口コーヒーを飲んだ。
「勝手なことをしたと怒っているんでしょう?」
「怒ってはいないが、少しがっかりしたといった方がいいかもしれない。君はいつもまっすぐに立ち向かってくる。自分の考えを主張する実直な君を見ていると楽しくて仕方がない。だからなおのこと神尾さんに言う前に君の口からそのことを聞きたかった」
「一条さん・・・」
「おかしいかもしれないが、私は神尾さんに嫉妬しているのさ・・・」
「なぜ、神尾さんに嫉妬する必要があるの?」千秋は戸惑ったように一条を見る。
「いつも鋭い感が働く人らしくないな・・・」一条は苦笑いを浮かべた。
「もし、神尾さんに話すべきだと事前に許可を求めていたとしたらあなたはどう答えたかしら」
「反対はしない。私もそうすべきだと思っていた。ただ、タイミングを待っていただけだ。それで捜査について彼は何か言っていたかい?」
「私たちの情報を詳しく調べれば何かわかることがあるかもしれない。神尾刑事が独自に調査するはずよ。あの池で男性が車中で溺死したと見られていた事故について再調査することになったことは知っているでしょう?もともと神尾刑事は事件性があると考えていて、事故で処理された後もずっと調査を続けてきた。本当のところは圧力がかかって捜査は打ち切られたからだと彼は言っていた。だから神尾さんも今回のことは慎重に捜査を進めたいらしいの」
「そうだろうな・・・」
「神尾さんが送られてきた脅迫状と鍵を預かりたいそうよ」
「君は彼に預かってきてほしいと頼まれたのか?」
「ええ・・・」千秋は首をすくめる。
「直接私に頼みに来ればすむことだ。わざわざ君が出向いてくる必要はない」一条の表情が険しくなる。
千秋には不機嫌になる一条の気持ちがわからなくもないが、だからといってこういう態度を取られるいわれはない。
「私が好きであなたとこうしていると思うの?話したいことがあると言って呼び出したのはそっちでしょう。それに・・・」
一条は立ち上がって両手をポケットに突っ込み大きく息を吸い込む。
「確かにそうだな・・・。悪かった」
一条があっさりと引き下がったことに千秋は拍子抜けした。無論ほっとしていたが・・・。
「あなたって人がわからないわ・・・。つかみどころがないって言うか戸惑うばかりだわ・・・」
「それはお互い様だろう・・・」
「私はいたって単純なごく普通の何処にでもいる女で、あなたは優秀な弁護士で沢田会長の右腕といわれている人よ。神様って不公平だわ」
一条はベンチに座り脇に置いたコーヒー缶を持つと千秋の顔を見つめる。
「君は時々自分を卑下するね。二人のお姉さんに劣等感を抱いているように見える。二人とも世間の注目を集めているような人たちだ。君からしたら眩しい存在」
「しょうがないでしょう。事実なんだから」千秋はプイっとそっぽを向く。
「あの二人はぜんぜんそんなこと気にもかけていないようだ。それに二人は君を頼りにしている」
「姉さんたちが私を頼りにしているって?冗談でしょう」
「脅迫状の入った封筒をもらってくる役を押し付けられ、仕方なく私に電話をしてきたんだろうという想像がつくよ。でも、それは君を頼りにしているからということにはならないかい?」
「物は言い様ね・・・。それって慰めているつもり」千秋はふっと笑う。
「慰めじゃないさ・・・。私にも兄弟がいるが、優秀な弁護士で足元にも及ばない。だから君の気持ちがわかるのさ・・・」
「何よ、それって自慢話じゃない。嫌味にしか聞こえないわよ」
暖かい日差しの中にいるせいなのか、一条に対していつも構えてしまう千秋だが、今は心が通じ合えたような気がして嬉しくなる。
一条については沢田グループの人間であり、優秀な弁護士であることぐらいしか知らなかった。しかし、神尾から一条のことを聞かされても、知れば知るほど一条という人間が謎めいてくる。だからこそもっと彼のことを知りたいと思っていた。
一条は腕時計に目を向けるとベンチから立ち上がる。
「時間はたっぷりあるから、もう少しドライブしよう。それから食事してから私のマンションへ行こう」
千秋は頷くと立ち上がり一条の後について公園を出た。マンションへ行くとなると、そこに脅迫状や鍵を保管しているということだろう。一条は手元に持っていたということになる。
「あなたはずっと手元においていたの?」
「会長は脅迫状や鍵が誰かの手に渡らないようにしたいと思っている。このことを知っているのは君たちだけだ。この存在を他の誰かに知られることになれば騒ぎになる。沢田グループ後継者が誰かに脅迫されていたと知れ、そのことで彼が殺されたという噂が流れたりすれば、沢田グループを揺るがすことにもなりかねない。密かに信用のおける人間に調べさせているが、今のところ何の進展もない」
「あなたは沢田グループの誰かが関係していると考えているの?」
「その可能性がないとは言えない。そうでないことを祈りたいがね・・・」一条は立ち止まって千秋を見つめた。
「沢田グループの誰かが関係しているとなると会長が気の毒だわ・・・」
「多角経営で色々な分野を展開し、優良企業として社会に貢献している沢田グループの力を利用しようとする者もいる。正次さんが亡くなったばかりだというのに、後継者の席を虎視眈々と狙う面々を見て君もわかるだろう」
「あなたがそうはっきり言うなんて意外だわ・・・」
千秋がそう言うと一条はにやりと笑った。
「この私でも、あの面々と見ると腹が立ってくる。会長という揺ぎ無い存在がなければ沢田グループは成り立っていかない。正次さんを後継者として育て上げるまで、会長は一線を退くつもりはなかった。微力ながら私も力になれたらと思っていた。他の役員は今のままではただのお飾りに過ぎない。今の役職を守ることも危ういということさえ気づかないような人たちだ」
「同感よ。私たちもあの人たちにはうんざりしていたわ・・・。良かった、私たちだけじゃなかったのね」
一条は笑いながら千秋を助手席に座らせると車に乗り込んだ。
「ここは?」
「コーヒーでも飲もうかと思ってね。ただしインスタントの缶コーヒーだけど・・・」一条はおかしそうに口元を緩める。
一条は車を降りて助手席のドアを開けた。千秋は口元を緩めたままの一条を助手席から見上げる。
「良いお天気だし、公園を散歩するのはどうかな?」
公園の木々は紅葉を始め、風に吹かれてはらはらと枯葉が舞い、木の周りや根元には枯葉がまばらに散っていた。公園に入るとベンチが程よく配置され、木の下のベンチでは木漏れ日がゆらゆらと揺れている。まるでそれは手招きをしているようにも見えた。一条も同じことを考えているらしくそのベンチを指差す。
「あのベンチで座って待っていてくれ、コーヒーを買ってくる」
千秋はゆっくりとベンチに近づき腰掛けて一条が来るのを待った。昨日はこんなことになるとは思っていなかった。いつもはそばにいられると落ち着かない気持ちにさせられていたのに、今は彼の姿が見えないと不安な気持ちにさせられる。
公園に入る手前に自販機が仲良く二つ並んでいた。木の影になり一条の姿はまだ見えない。私を残して帰るような人ではないとわかっているのに・・・。そう考えていると背後から一条が現れた。千秋は腹が立つどころか安堵している自分がおかしくて思わず笑ってしまった。
「笑うのか?驚かそうと思ってわざわざ回り道をしてきたのに・・・」
一条はベンチに座って笑っている千秋を見て空を仰ぎ見る。彼は空を見上げながら頬が緩むのをどうしようもできなかった。いつもとは違う彼女の一面を見たようで、言いようのない満足感が彼を満たしている。
「おかしい・・・。一条さんでも、こんな子供じみたことをするのね。ぷ!」千秋は再び笑い声を上げる。
「そこまで笑わなくてもいいだろう」一条はベンチに座りコーヒーを差し出す。
「だって・・・。葉っぱをくっつけているじゃない。いつも隙がなくて塵ひとつ服につけないような人が・・・。そういう一面もあるのね。まるで違う人みたい」
千秋のその言葉に一条は顔を曇らせ、一瞬にしてあたたかく柔らかな笑顔が消え失せた。
「それは君が私を見ないようにしているからさ・・・。最初の出会いがまずかったとは思うが・・・。私がどういう人間なのか君がいいように解釈し、勝手に決め付けて腹を立てていた。そうじゃないか?」
一条はコーヒーを両手で包み前を見つめる。千秋ははっとして一条の横顔を見た。
バイクの男がどういう人間なのかと勝手な想像を膨らませて、正体がわかると想像していた男ではないことがわかって失望した。それは勝手な思い込みに過ぎないことはわかっていた。それなのに私はバイクの男が一条であることを認めたくなかった。
「今でも君はたとえ違う状況にあっても、私を簡単には受け入れようとはしないだろう」
「私・・・」
「強要するつもりはないから安心してくれ。コーヒーが冷めるといけないから、さあ飲んで・・・」
どう言えばいいのだろう。今は何を言っても嘘に聞こえるだろう。この人は待つと言ってくれているのだ。これ以上こじれるような危険を冒したくない。成り行きに任せるしかないかもしれない。
「君の話を聞こうか・・・」
せっかく自然に振舞えると思っていたのに、また振り出しに戻るのかと思うと千秋は気が重かった。
「実は私たち、脅迫状のことを神尾さんに話すことにしたんです。このままではいけないからと三人で話し合って決めました。本当はあなたに相談するのが筋だとわかってはいたけど・・・」
「彼に話してしまった。すでに過去形なんだろう?」
「ええ・・・。ごめんなさい」
「予想はしていたから、聞いても驚かないよ」一条はごくりと一口コーヒーを飲んだ。
「勝手なことをしたと怒っているんでしょう?」
「怒ってはいないが、少しがっかりしたといった方がいいかもしれない。君はいつもまっすぐに立ち向かってくる。自分の考えを主張する実直な君を見ていると楽しくて仕方がない。だからなおのこと神尾さんに言う前に君の口からそのことを聞きたかった」
「一条さん・・・」
「おかしいかもしれないが、私は神尾さんに嫉妬しているのさ・・・」
「なぜ、神尾さんに嫉妬する必要があるの?」千秋は戸惑ったように一条を見る。
「いつも鋭い感が働く人らしくないな・・・」一条は苦笑いを浮かべた。
「もし、神尾さんに話すべきだと事前に許可を求めていたとしたらあなたはどう答えたかしら」
「反対はしない。私もそうすべきだと思っていた。ただ、タイミングを待っていただけだ。それで捜査について彼は何か言っていたかい?」
「私たちの情報を詳しく調べれば何かわかることがあるかもしれない。神尾刑事が独自に調査するはずよ。あの池で男性が車中で溺死したと見られていた事故について再調査することになったことは知っているでしょう?もともと神尾刑事は事件性があると考えていて、事故で処理された後もずっと調査を続けてきた。本当のところは圧力がかかって捜査は打ち切られたからだと彼は言っていた。だから神尾さんも今回のことは慎重に捜査を進めたいらしいの」
「そうだろうな・・・」
「神尾さんが送られてきた脅迫状と鍵を預かりたいそうよ」
「君は彼に預かってきてほしいと頼まれたのか?」
「ええ・・・」千秋は首をすくめる。
「直接私に頼みに来ればすむことだ。わざわざ君が出向いてくる必要はない」一条の表情が険しくなる。
千秋には不機嫌になる一条の気持ちがわからなくもないが、だからといってこういう態度を取られるいわれはない。
「私が好きであなたとこうしていると思うの?話したいことがあると言って呼び出したのはそっちでしょう。それに・・・」
一条は立ち上がって両手をポケットに突っ込み大きく息を吸い込む。
「確かにそうだな・・・。悪かった」
一条があっさりと引き下がったことに千秋は拍子抜けした。無論ほっとしていたが・・・。
「あなたって人がわからないわ・・・。つかみどころがないって言うか戸惑うばかりだわ・・・」
「それはお互い様だろう・・・」
「私はいたって単純なごく普通の何処にでもいる女で、あなたは優秀な弁護士で沢田会長の右腕といわれている人よ。神様って不公平だわ」
一条はベンチに座り脇に置いたコーヒー缶を持つと千秋の顔を見つめる。
「君は時々自分を卑下するね。二人のお姉さんに劣等感を抱いているように見える。二人とも世間の注目を集めているような人たちだ。君からしたら眩しい存在」
「しょうがないでしょう。事実なんだから」千秋はプイっとそっぽを向く。
「あの二人はぜんぜんそんなこと気にもかけていないようだ。それに二人は君を頼りにしている」
「姉さんたちが私を頼りにしているって?冗談でしょう」
「脅迫状の入った封筒をもらってくる役を押し付けられ、仕方なく私に電話をしてきたんだろうという想像がつくよ。でも、それは君を頼りにしているからということにはならないかい?」
「物は言い様ね・・・。それって慰めているつもり」千秋はふっと笑う。
「慰めじゃないさ・・・。私にも兄弟がいるが、優秀な弁護士で足元にも及ばない。だから君の気持ちがわかるのさ・・・」
「何よ、それって自慢話じゃない。嫌味にしか聞こえないわよ」
暖かい日差しの中にいるせいなのか、一条に対していつも構えてしまう千秋だが、今は心が通じ合えたような気がして嬉しくなる。
一条については沢田グループの人間であり、優秀な弁護士であることぐらいしか知らなかった。しかし、神尾から一条のことを聞かされても、知れば知るほど一条という人間が謎めいてくる。だからこそもっと彼のことを知りたいと思っていた。
一条は腕時計に目を向けるとベンチから立ち上がる。
「時間はたっぷりあるから、もう少しドライブしよう。それから食事してから私のマンションへ行こう」
千秋は頷くと立ち上がり一条の後について公園を出た。マンションへ行くとなると、そこに脅迫状や鍵を保管しているということだろう。一条は手元に持っていたということになる。
「あなたはずっと手元においていたの?」
「会長は脅迫状や鍵が誰かの手に渡らないようにしたいと思っている。このことを知っているのは君たちだけだ。この存在を他の誰かに知られることになれば騒ぎになる。沢田グループ後継者が誰かに脅迫されていたと知れ、そのことで彼が殺されたという噂が流れたりすれば、沢田グループを揺るがすことにもなりかねない。密かに信用のおける人間に調べさせているが、今のところ何の進展もない」
「あなたは沢田グループの誰かが関係していると考えているの?」
「その可能性がないとは言えない。そうでないことを祈りたいがね・・・」一条は立ち止まって千秋を見つめた。
「沢田グループの誰かが関係しているとなると会長が気の毒だわ・・・」
「多角経営で色々な分野を展開し、優良企業として社会に貢献している沢田グループの力を利用しようとする者もいる。正次さんが亡くなったばかりだというのに、後継者の席を虎視眈々と狙う面々を見て君もわかるだろう」
「あなたがそうはっきり言うなんて意外だわ・・・」
千秋がそう言うと一条はにやりと笑った。
「この私でも、あの面々と見ると腹が立ってくる。会長という揺ぎ無い存在がなければ沢田グループは成り立っていかない。正次さんを後継者として育て上げるまで、会長は一線を退くつもりはなかった。微力ながら私も力になれたらと思っていた。他の役員は今のままではただのお飾りに過ぎない。今の役職を守ることも危ういということさえ気づかないような人たちだ」
「同感よ。私たちもあの人たちにはうんざりしていたわ・・・。良かった、私たちだけじゃなかったのね」
一条は笑いながら千秋を助手席に座らせると車に乗り込んだ。
二人が車に乗り込もうとしているのじっと見ている者達がいた。
「あの車をつけろ・・・。例の物をあの男が持っているはずだ。隙を見て奪え。どんな手段を使ってでも手に入れるんだ。出るぞ、絶対に見失うな」助手席で男はタバコを灰皿に押し付ける。
「もしものことを考えて例の奴にマンションを見晴らせています。奴がかたをつけてくれる手はずになっています」
「足がつかないようにうまくやってくれ、後始末はしっかりしとけよ。いいな・・・」
この男たちの狙いは何なのか・・・。
二人に危険が迫っている。果たして・・・。
「あの車をつけろ・・・。例の物をあの男が持っているはずだ。隙を見て奪え。どんな手段を使ってでも手に入れるんだ。出るぞ、絶対に見失うな」助手席で男はタバコを灰皿に押し付ける。
「もしものことを考えて例の奴にマンションを見晴らせています。奴がかたをつけてくれる手はずになっています」
「足がつかないようにうまくやってくれ、後始末はしっかりしとけよ。いいな・・・」
この男たちの狙いは何なのか・・・。
二人に危険が迫っている。果たして・・・。
