池で殺された親子が川久保の妻子だと誰も想像していなかった。川久保はハウスの住人たちとほとんど付き合いもなく、いつも愛想がない上、ほとんど口も聞いたことがなかった。彼がどんな仕事をしているのかも誰一人知らない。妻子がいたことさえも今回のことで初めてわかったことだった。
川久保は事務所を構える弁護士だった。川久保はずっと行方不明の妻子を探していたと言う。突然姿を消してしまったのだ。その後何度か居場所を突き止めたが、その度姿を消してしまった。行方不明になってからしばらくして離婚届が送られてきた。その後ぷっつりと消息は途絶える。川久保についての情報は、それ以上神尾から聞き出すことはできなかった。神尾は捜査上言えないと千夏に告げた。
川久保は警察で事情聴取を受けたが、ハウスへ戻ってきた様子はない。神尾によれば弁護事務所で寝泊りしていると言う。
今回の事件に川久保が関わっていると警察は見ているのではないだろうか。それどころか川久保が妻子を殺したと疑っているのではないか・・・。千夏たちは川久保が妻子を殺すなどとはどうしても思えなかった。
同じ池で男性が事故死したことも含めて、今回の事件もわからないことがあり過ぎる。もしかしたら二つのことは何か共通するものがあるのではないだろうか・・・。
千夏たち三人は紅影に来ていた。紅影のマスターは友美のことをいたわるように見つめる。
「君たちが今回の事件に関心があるのはわかりますが、彼女が襲われたことを忘れないでくださいよ」
「だからこそ余計気になりませんか?被害者がハウスの住人と関係あるならなおのこと・・・」千秋は落ち着き払ってコーヒーを一口飲んだ。
「もちろん気にはなりますが・・・」
「友美のことを心配しているのね。お熱いことで・・・」千春はちらりと友美を見た。
「そういうことじゃなくて・・・」園田は困ったように友美を見る。
「園田が言っているのはそういうことじゃないわ。千春ったら、彼をからかったりしないで真面目に聞きなさいよ」友美は千春を睨む。
「はいはい。ごめん、ごめん」
千秋は千夏に向かって言った。
「園田さんの言うこともわかるけど、私たちはすでに巻き込まれているような気がするの・・・。犯人はどうして友美さんを襲ったりしたのかしら?千夏姉さんと間違えて友美さんが襲われたとしても、なぜそんなことをする必要があるかしら・・・。千夏姉さんが二つ共に第一発見者だから?」 千秋は疑問に思うことはそのままにはしておけない、思ったことははっきり言う性格だった。千秋同様に千春も疑問に思っていることがある。
「そうなのよね。犯人を見たわけでもないのに、まるで千夏姉さんが事件の犯人に関係するようなこと、何か知っているとでも思っているみたいに・・・」
千夏は千春の言葉にはっとしたように顔色を変えた。
千春が言ったことが後に大きな意味を持つことになるのだが・・・。そこに導き出されるものが、何であるかを知るのはまだ先のことである。
被害者の身元がわかったことで、事件解決の手がかりが見つかるかもしれないのだ。川久保の妻子が殺されたここと、彼が弁護士であるこことなんらか関係があるとしたらどうだろうか・・・。彼が弁護士という仕事をしていなければ妻子が殺されることもなかったのではないか・・・。
妻が息子を連れて突然姿を消し、離婚届を送りつけた後消息を絶ってしまった。数年後、川久保が現在暮らすハウスのすぐそばの池で変わり果てた姿で発見された。皮肉な運命が川久保の人生を大きく変えていく・・・。彼の心中を思うと千春は胸が痛んだ。
川久保は事務所を構える弁護士だった。川久保はずっと行方不明の妻子を探していたと言う。突然姿を消してしまったのだ。その後何度か居場所を突き止めたが、その度姿を消してしまった。行方不明になってからしばらくして離婚届が送られてきた。その後ぷっつりと消息は途絶える。川久保についての情報は、それ以上神尾から聞き出すことはできなかった。神尾は捜査上言えないと千夏に告げた。
川久保は警察で事情聴取を受けたが、ハウスへ戻ってきた様子はない。神尾によれば弁護事務所で寝泊りしていると言う。
今回の事件に川久保が関わっていると警察は見ているのではないだろうか。それどころか川久保が妻子を殺したと疑っているのではないか・・・。千夏たちは川久保が妻子を殺すなどとはどうしても思えなかった。
同じ池で男性が事故死したことも含めて、今回の事件もわからないことがあり過ぎる。もしかしたら二つのことは何か共通するものがあるのではないだろうか・・・。
千夏たち三人は紅影に来ていた。紅影のマスターは友美のことをいたわるように見つめる。
「君たちが今回の事件に関心があるのはわかりますが、彼女が襲われたことを忘れないでくださいよ」
「だからこそ余計気になりませんか?被害者がハウスの住人と関係あるならなおのこと・・・」千秋は落ち着き払ってコーヒーを一口飲んだ。
「もちろん気にはなりますが・・・」
「友美のことを心配しているのね。お熱いことで・・・」千春はちらりと友美を見た。
「そういうことじゃなくて・・・」園田は困ったように友美を見る。
「園田が言っているのはそういうことじゃないわ。千春ったら、彼をからかったりしないで真面目に聞きなさいよ」友美は千春を睨む。
「はいはい。ごめん、ごめん」
千秋は千夏に向かって言った。
「園田さんの言うこともわかるけど、私たちはすでに巻き込まれているような気がするの・・・。犯人はどうして友美さんを襲ったりしたのかしら?千夏姉さんと間違えて友美さんが襲われたとしても、なぜそんなことをする必要があるかしら・・・。千夏姉さんが二つ共に第一発見者だから?」 千秋は疑問に思うことはそのままにはしておけない、思ったことははっきり言う性格だった。千秋同様に千春も疑問に思っていることがある。
「そうなのよね。犯人を見たわけでもないのに、まるで千夏姉さんが事件の犯人に関係するようなこと、何か知っているとでも思っているみたいに・・・」
千夏は千春の言葉にはっとしたように顔色を変えた。
千春が言ったことが後に大きな意味を持つことになるのだが・・・。そこに導き出されるものが、何であるかを知るのはまだ先のことである。
被害者の身元がわかったことで、事件解決の手がかりが見つかるかもしれないのだ。川久保の妻子が殺されたここと、彼が弁護士であるこことなんらか関係があるとしたらどうだろうか・・・。彼が弁護士という仕事をしていなければ妻子が殺されることもなかったのではないか・・・。
妻が息子を連れて突然姿を消し、離婚届を送りつけた後消息を絶ってしまった。数年後、川久保が現在暮らすハウスのすぐそばの池で変わり果てた姿で発見された。皮肉な運命が川久保の人生を大きく変えていく・・・。彼の心中を思うと千春は胸が痛んだ。
店の扉が開き相場が姿を見せた。
「相場さん・・・」
千秋は声をかけようとしてやめてしまった。相場の後ろから女性の姿が見えたからである。 千夏といえば驚く様子もなく、相場の後ろから歩いてくる女性をじっと見つめている。
相場は千夏たちがカウンターにいるのを見て近づいてくる。連れの女性は入口に近い窓辺のテーブルへ向かう。
「川久保さんのこと聞いたよ。身元がわかれば捜査の進展もあるだろう。早く犯人が捕まり、事件の真相が明らかになれば良いが・・・。川久保さんに疑いがかかっているらしいね。そんなばかなことがあるはずがない。川久保さんがわが子ともども奥さんを殺すわけがないからね」
「ええ、川久保さんがそんなことをするはずがないわ」
「それにしても彼が弁護士だったとは驚きだった」
「そうね、川久保さんは無愛想で、私たちと顔を合わせることもめったになくて、どこか世捨て人みたいだし・・・。謎の多い人だったけど、今回のことで彼が弁護士だってわかって、謎が少し解けたわね」
「だからといって、君たち犯人探しなどしようと思わないように、事件に巻き込まれては大変だからな」
千夏は曖昧に笑っただけで答えなかった。千春も千秋も相場が連れだっていた女性のことが気になった。二人は相場が兄のような存在で、ほかの女性と一緒にいることが気に入らない。それはある意味、嫉妬に近い感情だった。
相場は窓際のテーブルで座っている女性客のもとへ向かう。その後姿を三人は目で追う。
「なかなかの美人だな・・・」
三人の複雑な思いに気づかない園田は、友美に向かって言った。
「あの人フラワーショップによく来るわ・・・」
友美はちらりと千夏に目を走らせる。夫のお尻をおもいっきりつねってやりたいたいところだが、夫である園田が事情を知るはずもなく・・・
「相場さん・・・」
千秋は声をかけようとしてやめてしまった。相場の後ろから女性の姿が見えたからである。 千夏といえば驚く様子もなく、相場の後ろから歩いてくる女性をじっと見つめている。
相場は千夏たちがカウンターにいるのを見て近づいてくる。連れの女性は入口に近い窓辺のテーブルへ向かう。
「川久保さんのこと聞いたよ。身元がわかれば捜査の進展もあるだろう。早く犯人が捕まり、事件の真相が明らかになれば良いが・・・。川久保さんに疑いがかかっているらしいね。そんなばかなことがあるはずがない。川久保さんがわが子ともども奥さんを殺すわけがないからね」
「ええ、川久保さんがそんなことをするはずがないわ」
「それにしても彼が弁護士だったとは驚きだった」
「そうね、川久保さんは無愛想で、私たちと顔を合わせることもめったになくて、どこか世捨て人みたいだし・・・。謎の多い人だったけど、今回のことで彼が弁護士だってわかって、謎が少し解けたわね」
「だからといって、君たち犯人探しなどしようと思わないように、事件に巻き込まれては大変だからな」
千夏は曖昧に笑っただけで答えなかった。千春も千秋も相場が連れだっていた女性のことが気になった。二人は相場が兄のような存在で、ほかの女性と一緒にいることが気に入らない。それはある意味、嫉妬に近い感情だった。
相場は窓際のテーブルで座っている女性客のもとへ向かう。その後姿を三人は目で追う。
「なかなかの美人だな・・・」
三人の複雑な思いに気づかない園田は、友美に向かって言った。
「あの人フラワーショップによく来るわ・・・」
友美はちらりと千夏に目を走らせる。夫のお尻をおもいっきりつねってやりたいたいところだが、夫である園田が事情を知るはずもなく・・・
