こんにちは。所長です。

 

 

先週の金曜ロードショーの

魔女の宅急便は

みなさんみましたか?

 

 

僕は観てませんが、

ジブリ映画の中でも

屈指の名作で

すんごい好きです。

 

今日はどんなところが好きか

説明しておきたいと思います。

 

それはキキの挫折と成長を

描いた作品だということ。

 

物語は田舎町の

堕落した魔女コキリの娘の

キキが13歳を迎えたので

知らない町で魔法修行をして

成長する話です。

 

堕落した魔女というのは

セリフとして、

誰かがそう言ったわけではないですが、

コキリさんという魔女は

魔女の薬を作るのに

ビーカーを使っています。

 

ビーカーとは、

科学の結晶であり、

魔法や神を殺した

要因でもあります。

 

あらゆる自然現象は

神によってもたらされていたのが

科学によって化けの皮をはがしてしまい、

あらゆることに

科学によって説明がつき、

再現性が生まれました。

 

そうして神は死んだのですが、

キキの世界でも

魔法という不安定で、

供給量も安定しないものより

誰でも使える

科学の方が力を持つようになった。

そのような事がうかがえる時代です。

 

そんな折、

目の敵にするべき

科学の結晶たる

ビーカーをつかって

リウマチの薬という

いかにもプラシーボ効果しかないような

魔女の薬を近所のおばあちゃんに

お話相手のついでで買ってもらう。

というのは堕落した魔女の典型。

 

さらに、

コキリさんが

ビーカーを使うシーンでは、

コルドロン(マクベスのやつ)という

魔女のツボが描かれていますが、

それも奥の方においてあって

明らかに使っていない様子。

 

 

なんとも堕落しています。

 

しかしどうでしょう?

 

娘を育てながら、

家事をして、

魔女としての仕事もすれば

そりゃビーカーだって

使いたくもなるよなぁ

 

と、そんなことを考えてしまいます。

 

これは堕落ではなく、

むしろ進歩ではないか?

 

現代の魔女にとって、

魔法の探求だけでは

済まない時代になっていて

あれもこれもそれもと

やることがたくさんあって

もちろん、

自分の幸せ、家庭の幸せ、

娘の事も考えなければなりません。

 

そうなれば、

ビーカーを使って

パパっと効率よくやるのは

魔女として時代に合わせた

進化なのかもしれません。

 

むしろ、

世間の歩調に合わせられないような魔女は

時代と共に姿を消したのかもしれません。

 

もしかしたら、

時代のニーズに合わせた

新しい形の職人が台頭する

現代の日本と重ねて考えると

コキリさんは

昔ながらの職人気質な

魔女としては堕落している。

 

そう見えて実は、

 

現代魔女としては勉強熱心で

家事・育児と両立させられるような

パワフルさを持ち合わせているのかもしれません。

 

さて、

そんな現代魔女の代表格の

コキリ先生に育てられた

魔女の娘、

キキはといえば

めちゃくちゃ甘えん坊。

 

この甘えん坊が

どのように成長するのか

どんな苦難が待ち受けているのか。

 

そんなお話です。

 

キキの甘えん坊の

エピソードはいろいろありますが、

まず、

魔女の服に着替えて、

出発の準備をしている時に

父親がやってきます。

 

そこで、

キキは父親に高い高いをせがみます。

 

それも、

高い高いして!とは言わないし、

13歳で高い高いなど

普通はしませんよね。

 

でも、キキはお父さんに

高い高いをしてもらいます。

 

これから、

自分の魔法で、

自分の力だけで、

空を飛んでいくというのに

お父さんに高い高いを

してもらうというのは

 

本心では行きたくない。

甘えたいという心が見え隠れします。

 

それを感じ取って

高い高いをしてあげる

お父さんの

愛情の深さというか、

甘さ。

これがにじみ出ているなと

そう思います。

 

全部序盤のシーンで、

そういう環境で

キキは愛情たっぷり注がれて

育った子なんですよと

そういうシーンですね。

 

それによって、

キキは無自覚に

甘えん坊に育っています。

 

そんなキキは、

村のみんなから応援されて

キキコールがかかる中で、

満を持して旅立ちます。

 

が、

すぐに飛行機と出会います。

 

キキにとって

唯一無二の使える魔法、

魔女たる所以の

空を飛ぶということを

誰でも簡単にできてしまっています。

 

この残酷さったらないんですよ。

 

空が飛べるというより、

空しか飛べない

魔女だから、

空が飛べるから、

それだけでは

とてもじゃないけど、

生きていける世の中ではない。

 

というのを

まざまざと見せつけらます。

 

ところが、

キキはそんなことに気づかない。

 

 

田舎の小さな村で

みんなと仲良く暮らしてきたキキにとって

資本主義のような考え方は出来ないでしょう。

 

さらに、

物語が進むと、

自分の事をすごいすごい!って

言ってくれる友達のトンボくんも

トンボくんにとっては

キキもその辺の友達の1人にすぎない。

 

なんて自分は

ちっぽけで、

矮小で、

つまらない人間だと、

価値のない人間だと、

思い知らされるわけです。

 

そうして、

自信を失ってしまいます。

 

だけど、

それって我々だってそうでしょう?

 

だからどうした?

 

それが現在位置ですよ。

 

そこからどこに向かうのか、

どんな夢や目標を描くのか、

どういう道をたどるのか?

 

それが大事なんですよ。

 

魔女の宅急便では、

キキが自分の現在位置を知る、

落ち込む、

腹をくくる、

成長する、

能力を社会で活かす

この段階が踏まれていて、

感動的な物語となっています。

 

ぜひ!観てみて下さい。