ジャイアンが放った魔法の呪文、それは…
ジ『今日の出来事が知れたらエヴァのイメージが台無しになり、ヘタをするとエヴァは9が最後になってしまう。』
不『ううっ…』
ジ『オマエがオレを嫌って断るのは分かる。だが!エヴァのために!パチンコ業界のためにもエヴァを助けてくれないか?』
冷静になったジャイアンの頭のキレは、さすがだった。
今回は一言も、『オレのために』や『フィールズのために』の言葉を使っていなかった。
僕が高圧的な態度に屈しなければ、アメもムチも通じないと分かると、最後の切り札である
『パチンコ業界のために』
のキーワードを使った
情
絡みで、僕を口説いてきたのである。
僕とジャイアンは、長い付き合いをしていて、お互い相手の性格を分かっているつもりだ。
だから、この時のジャイアンは、保身こそがホントの目的であり、エヴァは口実に過ぎない。
それがジャイアンの作戦なんだ!
そう!頭では、分かっている…
分かっているが…
パチンコ業界のため…
パチンコ業界と言われると、僕は…
この言葉は僕にとっての
完全な弱点
になるキーワードだった…
女『今日のアナタがいるのは、エヴァのおかげじゃないの?』
ふと、パチンコの女神の幻聴が優しく聞こえた…
いや、自分自身で、ジャイアンの頼みを手伝う必要性を考えて、その言葉を頭に浮かばせ、必死に自分自身を納得させようとしたのではないかと思う。
僕の最大の弱点であり、同時に業界人であり続けるアイデンティティーでもある
『業界のために』
という
錦の御旗
となる言葉を聞いた以上
いざ鎌倉
の心境に、僕も成らざるを得なかった。
そして、ここに一人の
エヴァ9展示会トラブル封印事件の工作員
が誕生した。
不『分かりましたよ、やってみます、でも必ず成功するとは思わないで下さいね。』
ジ『ああ』
電話の向こうで話しているはずなのに、なぜか
ジャイアンの笑顔
が浮かんだのは、僕が
敗北感
を感じたからだろうか?
電話を切った時には、携帯が過熱していたことに気付いた。
時間は10分も経っていなかったが、1時間以上話したほどの疲れを感じ、出来れば今日は、もう眠りたかった。
だが、後輩の肉親(姉)のブログ発信を阻止するのが最初の
密任
になった以上、タイムリミットとの戦いとなり
1秒でも早く、彼女の考えが同調してもらえる言葉を、僕は考えねばならなかった。
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