大企業にありがちな、絶対的イニシアチブが、僕に通じないと分かるとジャイアンは、途端に弱気な声に変わった。
ジ『頼む!今日の(展示会の)評判が悪かったことが周りにバレたら、オレは出世が出来ない!!』
見苦しい声が、電話の向こうから大声で聞こえる。
辟易していた僕は
不『もう切るよ…』
と言うと
ジ『待ってくれ~、ブログや記事が載ったら、オレはクビになる!頼む、オレを助けてくれっ、なっ、頼むっ!!』
ジャイアンは更に1オクターブ高く、断末魔の悲鳴の如く、わめき散らしていた。
更に
ジ『なっ、なっ、オマエ前からウチの情報が欲しがってたよな、じゃあ、オレが話してやるよ、なっ、だから頼むっ!』
正直に言う。この甘言には、さすがの僕も心が動かされた…
今までどうしても入手出来なかったフィールズの機密情報が、手に入る千載一遇の大チャンスだったからだ。
しかも、それが高圧的な態度を取るジャイアンからだった。
この時、初めて2人の立場が完全に逆になった瞬間といっても良かった。
だが…
不『先輩、ゴメンやっぱり無理!』
そう言って手をおもいっきり振り回し電話を切った。
せっかくの大チャンスなのに、自ら放棄するのには、もちろん理由があった。
これを飲み込むことは
自分のアイデンティティーが崩壊する
ことを意味する。
僕が自分が業界人であるための根元は
PAMELAH(パメラ)のSPIRIT
という歌が、作ったと言っても過言ではなかった。
この歌は、地獄先生ぬーべーのエンディングで使用されたが、僕はもっと後の
僕の業界人としての在り方が、懐疑的になっていた時だった。
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