ほたる火のさきへ | フレンズ

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よく泣く子だ。そう思った。
夏も大分過ぎたある日、うちにある悪魔がやって来た。名前を、小春というそれはとにかくよく動く。そして、よく泣く。

小さな子供にとってのそれはコミュニケーションの一部、らしい。そんなこと知ったことではない。この悪魔のせいで大分予定が狂わされた。特に交友関係、それも彼氏。ふざけるなよ、まったく。私の彼は温厚で優しい人だ。…………恐らく。どうも、本人は子供は好きらしいのだが、その子供からは嫌われやすいんだとか。

果たして、私の腕のなかで眠るこの子はどうなのだろうか。
「おーい。小春~。そこんとこ、どうなのよー。うりゃうりゃ」

ぷにぷにほっぺをつついてやった。少し嫌そうな顔をするものの、泣かない。一瞬、しまった!、と思ったがなんとかしのぐことができたようだ。いやはや危ない危ない。

その日の夜、私は小春をつれて家を出た。別に家出じゃない。夜泣きがやまず、両親に叩き出されたのだ。
「本当にふざけるんじゃにいよっての~。ね~小春ー。わかってるかーおーい。こーはーるー。おーい」

背中の小さい、悪魔な天使はすっかりおやすみモード。ここで家に連れて帰るとまた泣くんだなこれが。このわがまま姫にとっておきの場所がある。ここにつれていくと、家に帰っても静かに眠ってくれるのだ。
「よっこらせっと。ほら~小春さーん。ついたよー」

背中を小さく揺すると、小さな伸びをする声と、モソモソというなんともくすぐったい動きを感じる。
「あーあー!」
そんな嬉しそう、なのかよくわからないうめきを聞きながら呟く。
「まぁ、きれいだよねぇ。ねぇ、小春」
「あー!うー!!」
同意を頂きました。さて、帰ろうかね。

ゆっくりと、川辺から離れる。そして一度だけ足を止める。するとお決まりの風が髪を撫でる。
「ありがとうねぇ。志乃ちゃん」
「いーよ。またね坂本のばぁちゃん」
そうして、また歩きだす。ちなみに、私の名前は舞嶋 志乃、背中の子は坂本 小春。
ん?今の声?そりゃユーレイってやつじゃないかな。うん多分そう。

小さな寝息を聞きながら思う。
(私ってユーレイと話せるのかぁ。)
「まぁ、いいか」
そうして今日も日付が変わる。
あぁー。シャワー浴びたいな。