Long time my friend 1 | フレンズ

フレンズ

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じわじわと照りつける日差し。セミの鳴き声が永遠を思わせるような錯覚が脳をかすめる。

「マスター……」

燕尾服の袖をまくり上げ、額をぬぐい空を見上げる。

あなたが僕の前からいなくなって、もう二年がたってしまいました……。

上着のかかる左腕に腕が回される。

「宙、まだまだ先は長いよ?」

そういう心地よいアルトは少し低い位置から奏でられる。

淡い空色のコントラストに彩られた白く美しい肢体。

麦わら帽子の日陰に映る大きな瞳は悪戯っぽい光を帯びていた。

「詩(うた)…そうですね。でも、今だけは振り返りたい気分なんです。いいですか?」

「もちろん。私は私が歩きたいように歩くから。だから宙も宙のペースで歩けばいいよ。

それがあっているうちはこうしている」

にっこりというよりも、どこか試すような響きは不快ではなくむしろこちらの心をくすぐり奮起させるものだった。

「じゃぁしばらくはゆっくりないね。そのための英気を養うことにするよ」

そういうと絡めた腕の力を抜いて、ゆっくりと歩く。

詩を包むワンピースの二つのポケットの片方。

小さなウサギが顔を出していた。

ちらりと視界の中にそれを収め、そしてまた思う。

(マスター。フレンズは僕にいろいろなものをくれます。僕はもう少しここにいようと思っています。

マスターの話してくれたウサギは僕の隣で元気に笑ってます)

*

ある晩。

フレンズが迎えた、最後の客に別れを告げ、一人夕食をとっているとふと涙がこみ上げてくる。

ままあることではあったが、今回は特に収まることなく悲しみが雫となってこぼれ続けた。

「ます、たぁ……なんで……」

時計を確認するともう夜中の三時をとっくに回っていた。

フレンズが移動を行うのは四時きっかりだ。
その為、遅くとも三時にはお客を帰さなくてはならない。

正直、ギリギリだ。

マスターがなくなってもう一週間が過ぎている。

こうして泣いている時間も少なくなってきているがそれでも泣かなくては自分を保てなくなってしまっている。

なぜ、気付けなかったんだろう。

いや、気付いていたのかもしれない。

マスターの体の変化に。

それでもあの人の優しさに甘えていた。

大きな大きな優しさに。

涙があふれて頬を濡らし緩めたタイは歪み。

整わぬ服装はあの人が一番嫌うものだったとそう思いつつも直そうという気が起きない。

なぜなら、

「もう、あの人はいないじゃないか……」

深い絶望が宙を覆う。

いままで主である彼に守られてきた小さな芽は、陽を見ることのない現状にひどくしなびていた。

もうすぐ、四時だ。

古めかしい懐中時計に視線を落とし、秒読みを始める。

この移動が終われば気持ちを切り替えよう。

たった一日もってくれればいい。

5

4

3

カラン

その音はあまりに衝撃的に宙の脳を揺さぶった。

ばたんとドアが閉じた瞬間。

時計は四時ちょうどを示していた。