大分前に話題になった偽ベートーベン事件のドキュメンタリー映画、森達也のファンで色々な彼のエッセイなど読んでいる。

個人的には佐村河内さんが嘘ついてるとかあまり興味ない。音楽映画、夫婦の愛の映画そのどれでもありどれでも無いと思う、決めつけが無駄に思う。

マスコミが悪い 佐村河内さんが悪い それもどれも違うと思う。 ショーンKや小保方さんの事件もあったが騙される視聴者も責任ある。

映画自体はメッセージはない物だ。印象的だったのはフジテレビの何でもネタにするあざとさ、障がい者が多く出演したが事件後最後まで佐村河内さんと友達だったのは障碍者の方ばかりだった。障がい者に対する偏見はまだまだ強い。

あとアメリカの記者が冷静に佐村河内さんに真意に追及していたがそこも日本のマスコミは本質的な事を突かず表面的な見方で観てる風に感じた。

森さんはオウム真理教の取材、超能力者の取材、放送禁止歌の取材、プロレスも好きな人だ。

森さんは一貫して全体主義を批判している。今イギリスでもIS(イスラム教過激組織)の研究が社会学者の間で盛んでオウム信者とIS志願者の比較がされている。オウム以降監視社会になった。今より一層強くなっていると思う。秘密保護法もできて安保法案次は憲法改正で戦前のような検閲が行われるかもしれない。

昨年大話題のこの世界の片隅にも絶賛されすぎて観る気を無くした。前作は好きだったが原作も実写のこうのさんの。

しかし悪い作品ではないがこれほど批判がないとナショナリズムも感じる。311以降一層日本が相互監視的になったような感じも受ける。

 

この映画の佐村河内さんと新垣さんとマスコミという構図が今の社会の縮図にも感じる。 

嘘や虚像は誰が作るのかフェイクニュースが話題だが佐村河内さんもマスコミや視聴者が作ったものだと思う。オウムの信者も話せば普通の人だ、森さんは信者が麻原正晃を作ったという。カルトにはまる人が精神障害の人と違い一見健常者と変わらない感じはする。健常者、普通の人がそもそも何かと思うが。想田和弘というドキュメンタリー作家は精神と言う精神病の施設の映画をモザイクなしで撮っている。オウムがおかしい、精神病患者がおかしい、キムジョンイルがおかしい、トランプがおかしい、あの作品に感動しない方がおかしい、この世界の片隅になんて日本人だと感動しないのがおかしいと言われてる感じがする。

311以降ヒーロー願望も強まった気がする。911以降のアメリカみたいに日本でテロが起きれば愛国法みたいな監視社会法案ができそうだ。今でさえ今年の漢字は北だった。分かりやすい善悪二元論なんて世の中にはない。

昨今簡単に何が正しい、悪いと二元論的に単純に考える人が増えている。それはいかにも怖い。森さんも常にそれは言っている。スピリチュアル・自己啓発ブームもそうだろう。世紀末には流行るものだ。

 

全日本人必見の映画だと思う、大げさではなく。

 

この森さんのインタビュー面白かった一番。

http://www.webdice.jp/dice/detail/5136/