食べる前から歯が痛くなってしまうような、たいへん甘そうな名前のお菓子だが
田舎者の頭の中に広がる想像は、想像に更に想像を上乗せして増して行く
うむ、ミルフィーュ、名からすれば、輩はフランス系か
あのミッテランもデザートとして毎日食べているのだろうかと
何故か、フランスが浮かんでしまった。
日本のホテルのパテシェだかが、某国の菓子としてデザートに出したのが発端で
テラミスの様に、いきなりブレークしたお菓子で、OLらがミルフィーュよと
キャーキャー騒ぎながら好んで食べる、お洒落風体をしていて、一口食べたら
もう幸せよみたいな顔をしながら、ミーハー的に召し上がっているお菓子で
絞りたての牛乳に砂糖が加えられ、牛乳の風味を残しながら、とろりとしたまろやかな
液体状のペーストが何処かに詰まっていて、味も形も角がなくその名の通り
雰囲気が丸いミルキーなお菓子なのだろうと想像を膨らませながら、ミルフィーュを
まだ食べない内に、もう食べてしまったかのような気になった。
数日後、野暮用が出来たので手土産を購入するために、いつもの銘菓店に足を運んだ
店内はいつものように甘い香りが広がり、美味い菓子がいっぱい並べられていた
ふと、ケーキのショーケースを眺めてみると、ミルフィーュと示されている札を見付けた
初めは想像上のミルフィーュとは違う形に、どれがミルフィーュなのか分からなかったが
どう見ても並べ方からすると、これだなと断定する、想像は見事にはずれブルーになる
力を落としたその顔は、ショーケースのカラスにうっすらと映った。
それは、お梅さんと呼ばれている子が、実は3歳の女の子だったみたいな
想定外の衝撃に似たショックだったのだと想像して貰えば分かりやすいだろう。
自家用にミルフィーュを購入、野暮用を済ませ家に帰ってから食してみた。
その姿形から食べる前から、口に運ぶとどうなるのかは想像は付いたが
食べてみて実感、ミルフィーュとは、その名に似ても似つかず
あまり甘くない、口に運ぶ度に、残骸がボロボロとこぼれ落ちる
なんとも喰い難い構造の、なんという事もない普通のお菓子なのであった。
フランスの暴動ニュースをみながら、ミネフィーュを思い出してしまい
あのサルコジ政権で、フランスは大丈夫なのだろうかと、今日は話を締め括ろう。