逢いたくなって 下手な詩でもと・・・ | 十勝・帯広を洗濯いたし申し候

十勝・帯広を洗濯いたし申し候

Yahooの勝手な事情からの移民です。トホホ

逢いたくて 逢いたくて 胸のときめきは止まらなかった
ただ逢いたい一心で 家を飛び出した
君の待つ あの場所に続く走り慣れない道
同じ方向に向く 冷たい面持ちの車達は
まるで熱もない血管に流れる 氷温の血液のように
まるで愛想もなく ただ速く走るために造られた高速道路を進む
時を惜しむかの様に走り続ける者達と 完全に同化しながら
我を忘れて 彼らと同じ時空の流れに乗り走った
飛ぶように流れる表示板 徐々に減り行く数字に時折目をやりながら
もうすぐ もうすぐ 君の待つあの場所に辿り着けるのだと

逢いたい 早く君に逢いたい
逢いたい一心に 休まずに転がるタイヤ
アスファルトに擦れながら熱を帯びては
比較的緩やかに造られたカーブを 一つ又一つと
逸る気持ちを抑え 正確にトレースして行く

やがて少し開けた サイドウインドウから入る風に
仄かな潮風を感じ 遠く目をやれば真っ白なプロペラが見えてきた

初めて逢う興奮は 胸の高鳴りを抑え切れずに
心臓の音までも 鼓膜に共鳴させながら
やっと逢えるんだ やっと逢えたねの言葉を胸の中で繰り返し
誰もが同じに進む時空の中に紛れ もどかしさを感じながら走った

この手で君に触れられるまでの じれったさ
走っている時間すらも 惜しく感じながら先を急ぐ

待っていてくれる あそこに君は待っていてくれる
次第に大きく見える 真っ白い風車
もう少し もう少しで逢える

風を斬る音もたてずに待つ姿 花嫁が白無垢の衣装を纏うかの様なその姿
ブレーキを踏む足の力を緩める間もなく サイドブレーキに手を伸ばす事も出来ず
ドアを開けて外に飛び出し 君に駆け寄る間も許されずに
心は既に奪われ 完全に虜と成ってしまう

声を掛ける心の余裕すらもなかった
見つめる君の姿は 波も立てず水面を進むスワン
真っ白な大きな羽を広げ その羽は海を渡す橋となり
辿り付く迄の あのもどかしい時空の流れは消え去り
一瞬にして流れは止り 逢えた嬉しさは時すらも感じない

海に沈む太陽は絶え間なく 光の速さに同調した時空を生み続け
やっと逢えた嬉しさを 別れの時に導こうと
意地悪くオレンジ色の夕暮れを描きながら 時空に従えと命令を繰り返す

やがて来る暗闇に 星々瞬き
冷たい潮風が身を包み しっかりと抱く君の身体すらも冷え切って
気が付けば 共に眠りながら プラネタリウムに投影された星に気が付き
顔を見合わせて微笑む君は 温かく