私が高校1年生の時、ある時母が
「この日空けておいてよ」と言った。
兄弟が多い母は幼少期とても貧しく育ったと言う。
だから母は仕事の鬼だった。低学年には鍵っ子の私。
両親共にほぼ家に居ないので、会えるのは朝と休みの日だけ。
中学校に上がる前には、監視と勉強の為に家庭教師のお姉さんが来てくれていた。
いつも猫2匹と私だけだったので、お姉さんが来る日は張り切って掃除をして迎えていた。
監視や何もかもが厳しかった母、日曜日出かける時はもちろん伝えなければ詮索もされる。
そんな私に
「この日開けておいてよ飛天に行くから」。
当日、私と母はおめかしをして出かけることに。
途中、私も父も見たことのない花束を購入。
少しワクワクした。とくに母はワックワク。
そして到着したのは、劇場・飛天(梅田コマ劇場)。
豪華な入り口にさらにテンションが上がっていたと思う。
そして母が言った。「こっちやで」と。
違う通路を行き、どうやら楽屋前。謎の伝手。
そして出てきた!サブちゃんが!そう北島三郎さん。
私はビックリして硬直。その時母が私に言った!
「ほらほらっ!(ポンと押され)花束花束」と。
まるで私が大ファン。
ちょっと大ファンで渡したいのはお母さんでしょ!と思った。
きっと、緊張のとんでもない怖い顔で花束を渡したと思う。
その後写真を一緒に撮っていただいた。
私、間にサブちゃん、母。
今となれば自慢もしてみたかった写真が実家にあるが、
どうか一生誰にも見られませんように、と思うほどの私の映りになっている。
サブちゃんのラスト《まつり》は、高校1年生の私でも感動と鳥肌でうるっときた。
ありがとうサブちゃん素晴らしいステージでした。
私は未だに誰にも写真を見せていない。