「誰も守ってくれない」を観てきました | RE:SUKI

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考えましょう

「映画の日」ということで、「誰も守ってくれない」という映画を観に行きました。2009年2月24日土曜日に、フジ系列の地上波で放送されていた「誰も守れない」というドラマとの、連動企画の映画作品です。


この映画は、これから犯罪を犯す人、もしくは罪を犯した人に観て欲しい映画です。いや、犯罪や事件に興味のある人、全てですね。考える上では、非常に良い映画だと思いました。胸が痛くなる部分もありますが。




↓今日のテーマ曲カラオケ 「誰も守ってくれない」より 

■ Libera - You were there (左端の⇒で再生)



■色々と書きます ドクロネタバレ注意注意

(注意~嫌な人はすぐにブラウザの×、または移動を)


①前作フジTVの「誰も守れない」との関連性


前作である、フジTVの「誰も守れない」の冒頭は、警察車両の中、佐藤浩市さんの演技する「勝浦刑事」と、松田龍平さんの「三島刑事」の2人が、会話をしていました。ドラマの内容は、ストーカー犯罪や現在の犯罪者の状況、そして警察の仕事などについてでした。


映画「誰も守ってくれない」のオープニングも、同じく2人は車で移動中でした。会話は前作の続きです。そして、志田未来さん演じる「船村沙織」は、中学校のクラブ活動の場面でした。まさに続きです。その後、「船村沙織」は、物語の中心人物となります。


前作が、犯罪被害者家族の視点での、ストーリー展開であったのに対し、今回の映画は、加害者家族の視点でした。2つの視点から、ストーリーを展開することで、1つの答を探しているようにも、見えました。



②加害者家族を取り巻く状況


家族の一人が物的証拠などから、警察に逮捕された加害者家族は、厳しい環境下に置かれます。近隣住民の興味の対象。イタズラ電話や誹謗中傷行為。メディアなどマスコミの取材対象。警察の事情聴取。戸籍を変更する為の離婚。目まぐるしく生活環境は変化します。


加害者家族は空中分解を起こすように、バラバラになります。追われ続ける家族。そして、それから逃れる為に死を選ぶ家族。被害者家族には、想像し難い苦しみがありますが、加害者家族にも、苦しみはあるということを表現していました。



③メディア・マスコミの社会への影響


映画の主題は、「加害者家族とそれを護る刑事の姿」を描くことでしたが、その中にはメディアなどへの問題提起も見られました。TV局や新聞・雑誌は、被害者家族へのインタビューなどを行うに留まらず、逮捕された加害者の家族や近隣への取材を行います。


スクープを手にしようと、記者は家族の気持ちなど考えず、追いかけ続けます。時には、車やタクシーで。時には、親戚や同級生などを対象に。写真やアルバム・文集などを買い取り、いち早く報道します。その取材や報道・新聞の影響は、日本全国へ拡がります。



③一般人(ネットなど)への影響


メディアなどが取り上げた情報をきっかけとし、一般人は犯罪被害者・加害者、そしてその両方の家族に対する感情を持ちます。それは肯定や否定など様々な感情ですが、それを元にして行動する一般人が現れます。


メディアとは異なる、加害者家族に身近な人物が、情報をインターネット上(2ちゃんねるのようなBBSタイプのサイト)に流すことについての表現。また、関係のない第三者が、調査行為を行う表現がありました。結果、メディア情報以外の、「本物の情報」を人々は目にし、さらにその行動はエスカレートします。映画では、一般人が加害者家族などを襲うという場面が、数回ありました。



④被害者家族の生き方


前作、「誰も守れない」の中に、「勝浦刑事」が関係した3年前の事件の話があります。今回の映画は、柳葉敏郎さんの演技する、ペンションオーナーが被害者家族となり、その生き方を表現します。


被害者を殺された家族には、終わりのない日々が続きます。そして、人によっては、加害者への憎しみは消えません。この世に被害者は存在できないのに、加害者は生きていける理不尽さについて、話がありました。


それでも、被害者家族は、前を向いて生きていかなければならないことなどを、表現されていました。未来は確実にあると言うことでしょうか。いや、作らなければいけないということでしょう。



⑤被害者家族と加害者家族


被害者家族と加害者家族、どちらに非があるのでしょうか?この映画の中での一般人は、「加害者家族に責任があると考えている」、という設定で進行されていました。実際には、単純な話ではなく、様々な生活環境の影響などがあるのだと思います。


そして、双方の家族については、メディアが追いつけない程のスピードの中、インターネット上では「本物の情報」が集まります。時にそれは、加害者家族を傷付けるという設定でした。一般人の被害者家族への同情から、それはさらに加速します。


~ 以上 ~



さすがに肝心のストーリーは書けませんが、映画の中で気になった点を書いてみました。関係者の本当に伝えたいことは、鈍感な私には伝わっていないでしょうが、色々と考えてみました。少しのネタバレはお許しを。


インターネットを利用する者として一番気になった点は、映画中、攻撃的な心の一般人ばかりが、ネット上に存在することについてでしょうか。もちろん、脚本を書かれた方は、映画作品として、この部分を強烈に印象付ける事で、スピード感などを演出したのだと思います。


加害者家族を追い回し、時には違法行為を行い、暴行する一般人。この様な話は、どこにでも存在していることではありません。あったとしても、一部の人間だけが行うことでしょう。理解した上で観ると良いのですが、まったく理解されない方が観ると、インターネット=悪の様な印象を、抱きかねません。


これは、映画の主題である、加害者家族の状況に、重なり合う部分があるようにも思えます。言われなき誹謗中傷の可能性です。思い込ませる、という行為は怖いことです。第三者に対し、何かを伝えるということは、実は全て同じ答に繋がるのかも、しれませんね。当サイトも含めて。


さて、気になった点を含め、非常に興味深く観れた作品でした。終わった後に何点かと聞かれて、「90点」と私は言っていましたので、良かったのでしょう。前回観た映画の影響もありそうですが、高評価となりました。


演技されている俳優さんに、好きな方が多かったこともあり、楽しめました。主演の佐藤浩市さんは言うまでもなく、松田龍平さんの目でする演技が最高です。多感な中学生の気持ちを演じる志田さんも。演技というのは、凄いなといつも思います。


映画終了後、テロップと合わせて音楽が流れましたが、席を立った人は最初いませんでした。少しして3名が扉へ。結局、ほとんどの人が最後まで、映画を見ていました。音楽が美しく良かったです。


TVでの放送分を観ていたので、登場人物や周囲の設定などを理解していたので、楽しめた可能性もあります。カメラワークも動きがあり、良かったです。良いこと尽くしになってきたな…。「誰も守ってくれない」は、私にとって、色々と考えられ、素晴らしい映画でした。同一キャスティングでの続編を、楽しみにしております。また観ますよ。


■映画「誰も守ってくれない」 予告


次回作、あるのかな?



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予告 別ver

君塚さんインタビュー