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2008年11月、とある老舗文具メーカーが発売したデジタルメモ「ポメラ」という商品をみなさんはご存知でしょうか。


「ポメラ」は、発売と同時にほぼ品切れ状態になりました。


初年度10万台に達する勢いで、ここ数年売り上げが伸び悩んでいた老舗文具メーカーにとっては


起死回生のヒット商品となったのです。


普通のファイルやラベルライターは、市場が完全に成熟しています。


そんな成熟市場に身を置く老舗文具メーカーを救ったのは極めてシンプルなメモ専用機でした。


多機能化という情報機器の潮流と逆行するポメラを企画したのです。


会議で9割が賛成する商品は案外売れない」という持論を持つ社長は、


役員会議でたった1人しか評価しなかった案件にゴーサインを出します。


「独創的な商品を開発し、新たな文化を創造する」を理念とするこの企業は、


消費低迷下でニッチ市場を掘り当てた非常に模範的な好例ですね。


【ニッチ市場 例】キングジム

今では日本における宅配便のシェアNo.1であるヤマト運輸ですが、実は大手の先を行くニッチ戦略がリーダー戦略に昇華した好例だということをご存知でしょうか。


かつて、首都圏を中心に三越やコカコーラなどの大手の商品を周辺向けに発送していたヤマト運輸は、石油危機を受けて利益率が1%前後にまで落ち込んでいた時期がありました。


一方で、地方に拠点を置く大手運送会社が強かったのです。


地方から地方へ、複数のお客様の商品を混載するネットワーク型配送で利益を蓄積していました。


昭和51年、ヤマト運輸は民間大手が手をつけていなかったB to C型の宅急便に転進します。


周囲の反対を押し切って決断をした当時の小倉社長の先見力と実行力で徐々に軌道に乗り出しました。


この年、ペリカン便、カンガルー便で追随した日通や佐川も、52年以降の景気回復で宅配は副業に止まってしまいました。


結果的に、長らくヤマトの宅急便はほとんど敵がいない幸運な状態が続いたのです。


独自のオンラインシステム、大手の先を行くダントツ3ヵ年計画など、絶えず大手他社の先を行くリーダー戦略も功を奏しました。


B to B型が中心で単価が抑えられてしまう大手他社の宅配に対して、B to C型の比率が高いクロネコの宅急便は、均一料金で利益率が高かったのです。


宅配ビジネスを中心に、本、産直品、ゴルフ、チルド、代引きなど、事業ドメインを周辺へ拡大する戦略も成功しました。


最初は小なニーズを掘り起こし、周辺領域と広げていくのはニッチャー戦略の基本通りですね。


【ニッチ市場 成功事例】ヤマト運輸

大ヒット商品である任天堂のWiですが、これはニッチ市場=マーケットの隙間を突いた戦略がありました。



Wiiは、「非顧客」を顧客化した典型的な事例だからです。



これまでゲームであまり遊ばなかった小さい子どもや大人にも満足してもらえるゲームを出すことで、新市場を開拓しました。



それまではどの企業も、ゲーム機の主要な顧客を10代後半だと考え、この層を満足させるために画像処理の性能など機能面で競争してきたんですが、Wiiは全然違いましたよね。



これはブルー・オーシャン戦略とも言われるものです。



価格や機能などで血みどろの競争が繰り広げられる既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とする一方で、競争自体を無意味にする未開拓の新市場を「ブルー・オーシャン(青い海)」と呼ぶのですが、当然ブルー・オーシャンの方が魅力的な市場なわけです。

【ニッチ市場 成功事例】任天堂Wii