よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

よしすけのツレヅレなるママ 映画日記

大好きな映画の感想をメインに、読書感想や子育てについてetc…のんびりした日々をゆるゆると綴った日記です

『ロストケア』

(2023年 日本)


先週読んだニュース。


訪問介護事業所の倒産が後を絶たない。

その要因は基本報酬の引き下げ。

厚労省は引き下げの理由を

訪問介護が他の介護サービスと比べ

利益率が高いからだという。


父の訪問介護を見ていた限り

とても利益率の高いサービスとは

わたしには思えなかった。


ニュースを読むと「サ高住」も

訪問介護に含まれているらしく

一件一件の家を回る

通常の訪問介護は利益率が低いのに

移動がほとんどない「サ高住」が入ることで

利益率が上がってしまい

結果、基本報酬が引き下げられ

通常の訪問介護事業所が

倒産に追い込まれているというのだ。


このままだと

訪問介護が行えるのは

お金持ち相手の事業所ばかりに

なってしまうだろう。


介護施設はどこも満床。

大勢の人が空きを待っている。

介護難民は増える一方だ。


政府は自宅での訪問介護を推奨するが

訪問介護事業所が減少すれば

自ずと家族の介護負担が増える。


このままでは

介護格差がますます広がっていってしまう。


そんな時に

『ロストケア』を観た。




STORY

 

早朝の民家で老人と訪問介護センターの所長の死体が発見された。捜査線上に浮かんだのは、センターで働く斯波宗典。だが、彼は介護家族に慕われる献身的な介護士だった。検事の大友秀美は、斯波が勤めるその訪問介護センターが世話している老人の死亡率が異常に高く、彼が働き始めてからの自宅での死者が40人を超えることを突き止めた。


真実を明らかにするため、斯波と対峙する大友。すると斯波は、自分がしたことは『殺人』ではなく、『救い』だと主張した。その告白に戸惑う大友。彼は何故多くの老人を殺めたのか?そして彼が言う『救い』の真意とは何なのか?


被害者の家族を調査するうちに、社会的なサポートでは賄いきれない、介護家族の厳しい現実を知る大友。そして彼女は、法の正義のもと斯波の信念と向き合っていく。
(公式サイトより転載)


世の中全て平等だったら良いのだが

残念ながら世の中は不平等だ。


人は誰も同じように歳をとり

病気にもなるのに

受けられる医療やサービスは

同じではない。


経済状況に応じて

賄いきれない部分を補ってくれるのが

社会保障じゃないのかと思うんだけど

そのようには機能していない。



お金持ちは

医療やサービスに躊躇なく金を払い

貧乏人は

賄いきれない部分を家族が負担し

受けられない医療は諦める。


場合によっては

学校や仕事も諦めなければならない。



社会システムには穴があって

そこに簡単に落ちてしまう人たちがいる。

穴の外側にいる人たちは

落ちてしまった人たちには

それなりの理由があるからだと

「正論」を言う。


落ちた人たちは

誰も落ちたくて落ちたのではない。

「正論」はなんの解決にもならない。



医療や介護にも

市場原理が導入され

コストや効率ばかりが

重要視されるようになってしまった。


稼げる事業にしようとすれば

どうしたって

切り捨てられる人たちが出てくる。



この国の社会制度が

家族単位で設計されているから

切り捨てられた人たちは

家族が面倒をみることになる。


家族という見えない「軛」を

「絆」などと言い換えて

美談に仕立てあげようとするのは誰だ?



人が人らしく生きて死ぬことは

もう難しくなってしまったんだな。


この物語も『プラン75』同様

「どうせフィクション」などとは

とても言えない。



マツケンの

幅広く奥行きのある演技に感服。

素晴らしかった!!



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