ホンダVF400Fウォーターポンプから漏れてます。
ウォーターポンプASSYの交換となるところですが、既に廃盤部品となっております。
概してウォーターポンプはASSY、つまり非分解製品です。
ASSY交換前提の為、消耗部品の設定などありません。
ウォーターポンプシールの寿命イコールウォーターポンプの寿命です。
ウォーターポンプは消耗部品です。
純正部品が廃盤な上、社外部品もなく、中古部品すら見つかりません。
このウォーターポンプをリビルドすることが、望みと言えそうです。
まずはハウジングまわりを洗浄しました。
ハウジングの穴から褐色の液体が出てきました。
ウォーターポンプシールがダメになるとこの穴から冷却水が漏れてくる仕組みになっています。
慢性的な漏れのせいで、中の部品が錆びてしまっているのでしょう。
ウォーターポンプベアリング、メカニカルシールを取り外しました。
ベアリングを抜きとる方向では、ハウジングは肉薄で強度が不十分でベアリングを抜き取る際にハウジングが割れる恐れが十分にあります。
そもそもベアリングを抜くことを想定していないと考えられ、他のメリットを優先した形状設計になっていると考えられます。
ハウジングはペラペラでかなりきつく嵌合しているベアリングを抜く力に耐え得る強度はなく、中古部品もない中、上の写真のような最悪な結果だけはどうしても避けなければなりませんでした。
インペラーをかなり慎重にベアリングシャフトから取り外しました。
ウォーターポンプシールはこのような有様です。
ベアリングもダメです。
インペラーは非常に巧妙に設計されており、少しでも曲げてしまうと再利用不可となってしまいます。
インペラーを曲げてしまうのは簡単で、誤って曲がってしまった場合は交換部分がない為、詰みます。
このような状態でも、インペラーを再利用しないといけないのは厳しいものです。
ここの状態が悪いと、いくら新しいシールに交換しても漏れてしまいます。
ここは非常に掃除が難しいです。
固定側の方もかなり酷いです。
洗浄をして綺麗にしましたら、
ウェットブラストで仕上げます。
設備を使ってメディアを徹底的に落とします。
メカニカルシール、ベアリング付きシャフト、オイルシールを新品に交換します。
VF400F用のリビルド部品は存在しておらず、交換部品入手にも非常に骨折りました。
ポンプベアリングはシャフト、ボールベアリングを一体化したIntegratedと呼ばれるもので、これがダメになるとメカニカルシールをダメにしてしまう為、シールとセットで交換する必要があります。
調整しながらベアリングの取り付けします。
位置が僅かでも間違うと、オイルポンプやウォーターポンプが破損します。
当然、押す箇所が適切でないとハウジングや新しいベアリングが破損します。
ウォーターポンプシール取り付け
メカニカルシールは摺動面は自己潤滑性の高いカーボン素材と炭化珪素系セラミックで、常にスプリングで2〜3Kg/c㎡の面圧がかけられて摺動してます。
メカニカルシールの最大のポイントは摺動部の隙間で、0.5〜1μmの隙間があり、これはLLCが漏れなく、焼き付きもない隙間であり、これより広ければ漏れ、狭ければ焼き付き漏れてくるという絶妙な隙間とされてます。
組み立て時にちょっとした塵でも付着したまま組み込めば、冷却水が漏れてくることは想像に容易いでしょう。
インペラー取り付け
オイルシール取り付け
完成しました。
組み付けました。
LLCのエア抜きしました。
ウォーターポンプからの異音ありません。
電動ファンの作動確認しました。
カウルの一部、スペーサーを追加しました。
他からもLLC漏れがないか確認しました。
カウル取り付けました。
しばらく走行し漏れていないこと、冷却システムに異常がないことを確認しました。
修理完了です。