不調気味とのことでカブの修理ご依頼です。


購入店には古過ぎて修理メンテナンスできないと断られたそうで、当店にご依頼いただきました。



昔のカブの純正キャブレターはダウンドラフトタイプです。



エンジンの異音酷く、吹け上がりも悪いです。




エンジンはとりあえず始動できる程のコンプレッション



タペット調整しました。




70年代コンタクトポイント点火です。


点火時期ズレてます。 

違和感あります。


ガバナー進角です。


火花バシバシ飛んでます。


ポイント間に飛んではいけません。


電気的にポイントが切れてないということで、一次電圧ロスが発生し、たまに失火しているかもしれません。



ポイント点火といえば、タイミングライトとドエルアングル計です。


ほとんど使うことがな過ぎて、工具箱の中で忘れかけられていました。


これをわざわざひっぱり出してきた目的は、修理前と修理後を相対的に確認することです。

相対的な確認なのは絶対値が存在しないからです。

目盛は、ディストリビューターはクランクシャフトの半分の速度、6気筒8気筒を単気筒に置き換えて見ます。



キャブレターの洗浄


特に汚れていたというわけではなかったです。



キャブレター純正部品はほとんど廃盤。

ガスケットすらありません。

旧車の味方、燃調キット。

なんとコックパッキンもリリースしてくれてます。

感謝です。



そして問題みつかります。


経年劣化により、真鍮ノズルが割れてしまっています。



仕方ないのでロウ付けしました。




キャブレター整備終わりました。



ポイントカバー外すとオイルが漏れてました。

クランクシールからです。



水分混入してました。

カバーパッキンもダメです。



これは漏れてきますね。




異音の主な原因。

カブのテンションナーといえば油圧式オートテンショナーですが、この頃はセミオートマニュアル式テンショナーです。

定期的にテンショナー調整をしなければなりません。



洗浄、スプリング等の点検



調整しました。





クランクシャフトシール交換








ガバナー点検



新品コンデンサー


新品容量は300ナノファラット程



ついていたコンデンサー


導通はありませんでしたが不良です。


コンタクト部分、灰色ではなく穴もあいてます。


ベークライト部摩耗

フェルトにほとんど油分残っておらずカラカラでした。

オーナー様からはエンジンオイルで良いか聞かれましたが、フェルトにはグリースを染み込ませます。


コンタクトブレーカーも交換です。



エアエレメント交換


純正部品出ました。



スパークプラグ交換



ガソリンタンクパッキン交換



点火時期正しく合わせました。

進角装置問題ありません。


ポイントカバーガスケット廃盤、社外品も見当たらなかった為、切りました。

水入ると壊れます。


マフラーにカーボン溜まっていた為、取り外し掃除しました。





整備前



整備後


Closing Angle




イグニッションアナライザー値




1次側


点火間隔およそ35msで、1秒間にエンジンは28.6回転していることになり、よって1716rpmでアナライザーとほとんど同じ回転数です。

Burn Timeは1.4〜2.0ms程です。




エンジン静かになりました。

吹け上がるようになりました。

試乗させていただきました。






しばらく走ってきたあと、スパークプラグは入庫時のようなくすぶりありません。

修理は完了となります。

ご依頼ありがとうございました。