前回はクランクシャフトのオーバーホールも終わりクランクケースの組み立てでした。

次は腰上のメンテナンスです。







お持ち込み時に比べだいぶマシになった方ですが、まだまだ汚れは酷く整備するには掃除が必要です。



インテークはひび割れしてきてます。



サーモハウジング部には液体パッキンが塗られてました。

サーモスタットのパッキンが外へ水が漏れないようにするパッキンでもある為、サーモスタット外ってないのかなと思っていたら、まさに入っていませんでした。



排気バルブの洗浄

センターバルブ、バルブガイドの部品、あちらこちらキズが付いていました。

タイミングもしっかりズレておりました。




おそらく洗浄が甘いまま塵やカーボンが噛み込んだまま組み込みしてしまったためでしょう。

センターカバーパッキンは交換しておらず。



中もかなり汚れが酷い為、洗浄時間は作業時間の多くを占めるようなエンジンです。



排気バルブは社外部品を組み込まれているそうです。

排気バルブは手入れしないと傷がついたり壊れるので、廃盤になると結構辛いです。

社外部品でも入手出来ればありがたいです。




ガイドの面取りしました。

右が前、左が後です。



以前焼き付かせたシリンダー。

再メッキに出すか、ライナーを交換するか等の処置が望ましいですが…





再メッキ云々の前に、

焼き付かせた時か、排気バルブに何か噛み込ませたか、排気バルブそのものが破損したのか、酷いことになってました。


シリンダーはかなり前から廃盤なのです。

再メッキやスリーブを入れるにしても、どのみち中古で良い物を見つけた方が良いでしょう。

これでは、バルブを交換したところで、排気デバイスをおいしく使うことができません。



左右で非対称です。

中古品もなかなか簡単には見つかりません。

こういう事が、旧車オーナー様にとってしんどいですね。

たまたま出ていたら、今は不用でも次いつ手に入るか分からないので、ストックとして即買いしてしまいますよね。



このままだと低高速域ともダメなのですが、

せめてめくれ上がっているところが排気の邪魔にならないように修正は行いました。

低速域はある程度仕方なく犠牲になりますが、高速は活きてきます。




出来る施工はしました。

せめてピストンはスムーズに動けるように…

最低限の圧縮圧力は保てるとは思います。


ただ、やはり交換に越したことはないと思います。



シリンダーヘッド洗浄










ピストン、リングとも廃盤

新品ピストンだったそうですが、キズだらけになってしまってます。


仕方なくピストン修正、カーボン落として再利用。








シリンダー組み上がり



バルブの位置も合わせて、ロッドの動きもスムーズになりました。

整備前は動きが悪く、主な原因は正しく組まれていなかったからです。

このエンジンは型違いと2個1、3個1であることも発覚。

パーツリストだけ見て発注していたら、使えない部品だらけになっていたでしょう。



この1本のヘッドスタッドボルトは廃盤。

新しいナットを手で回すとネジの途中で止まってしまいます。

このような状態では正しく締め付けは出来ない為、このような大事な箇所は躊躇なく新しいものにナットとセットで交換しますが、今回は部品が出ないので修正して再利用するという判断です。




次回はクラッチやライトケースカバーのメンテナンスも行っていきます。