桐野さんを読むのは、正直、怖いもの見たさです。

怖いもの、というか、心の闇というか。

読み終わってオチることを覚悟のうえで、

心身ともに元気なときに、読み始めます(笑)


そういう意味では、そんなに怖くなかったかも。



筆力があるので最後まであきさせないけど、

読み終わってどういう気持ちになればいいかよくわからず

「???」って思ってしまいました。

…変な感想ですね(笑)


桐野さんの作るキャラクターって秀逸だと思うんだけど、

この本の主人公・清子については、

キャラが最後の1シーンでちょっとブレていて、

「あれっ?」って思ってしまうのも一因。

桐野さんとしては、物語の終結として、

「東京島」と「東京」という、

ふたつの世界を対照させたかったんだと思うんですけどね。


アナタハン島事件 」をモデルにしてるというのが定説ですが、

TBSの「R30 」でアナタハン事件を知ったときのほうが、

「怖い!!」って思ったかも。


でもやっぱりストーリーテリングの力はすげーなーと思います。




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32 人が流れ着いた太平洋の涯の島に、女は清子ひとりだけ。いつまで待っても、無人島に助けの船は来ず、いつしか皆は島をトウキョウ島と呼ぶようになる。果たして、ここは地獄か、楽園か? いつか脱出できるのか――。欲を剥き出しに生に縋りつく人間たちの極限状態を容赦なく描き、読む者の手を止めさせない傑作長篇誕生!