キネマの神様
久しぶりに泣けて、笑えて、スカッとした作品でした。まず、びっくりしたことがあります。
原田マハ先生はこんな作品も書いてるんだって驚いたんです。
映画公開も控えているので作品に対してできる限りネタバレはしたくないのですが、書きたいという葛藤に負けてしまいそうです。
なので、書きます。
まず、読んでから僕は後悔しました。何に後悔したかって?
それは、シネコンに古き良き昭和の映画館が負けてしまったことです。
僕のキネマ人生は、小学生低学年からはじまりで当時は、仮面ライダーや戦隊ものの映画を祖父に連れられて観にいっておりました。
他にもゴジラとか本当の特撮モノも機会がある時に必ず観るようにしていました。
中学生や高校生になると、ある程度資金も増えてきて、大人の映画作品(洋画とか)にも興味を持ち始めました。
学生時代には、もちろんシネコンはなく、映画館が多数存在しておりました。
仮面ライダーやアニメ、特撮モノの比較的子供向け専門の映画館、そして、洋画やミステリーなど比較的大人向けの映画館、
そのカテゴリーを特に括らず放映する映画館や、松竹座などほんとにさまざまな映画館が軒を連ねておりました。
なので、小生と同じ世代の映画好き貴君も同じような映画人生を送ったのではないだろうか。
さて、これらの映画館の行く末は、先程も書いたようにシネコンに負けてしまいました。つまり、これらの映画館は、潰れてしまったのです。
小生が子供の頃によく行った映画館がなくなることは、ほどなくシネコンが建設されてから知ることになりました。
それまでは、ただなんとなく通勤途中にチラッと「あ~、今日もやってないなぁ~おかしいなぁ」と思うだけでまさか潰れてしまうなどとはつゆとも知りませんでした。
閉館が決まり、入口の扉に「閉館のお知らせ」を見かけたときのショックは測りしれませんでした。
「なんで?嘘でしょ?」って、ほどなくして出来たシネコンは、しばらく行く気にはなれませんでした。
それぐらい思い出の詰まった場所だったのです。
昭和の映画館は、「古い!辛気臭い!」と言われればそれまでですが、やはり、夢の詰まったテーマパークのようなところだと思います。
確かに今あるシネコンは、今では定着している「4DX」を当時は業界初で取り入れるなど先進的でした。
そのギャップにもかなりのショックを受けた記憶があります。
新しいものがあればそれで良い。そうかもしれない。
でも、ふと、昔にタイムスリップができる場所があってもいいんじゃないでしょうか?
潰れてしまった映画館の跡地は、未だに更地のまま。潰さなくてもいいんじゃなかったのか?とまで思えてなりません。
この「キネマの神様」をたくさんの人に読んでもらい、古き良き昭和の映画館の経営難を助けると共に、敢え無く解体となっても
建物だけを残し、別の命の使い道を模索して欲しいと思う次第であります。
さて、「キネマの神様」はまもなく公開予定となりますが、昭和の激動を生き抜いた、シニア世代の方と今の若年層の方、どちらにも刺さるともいます。是非、映画館で刮目し、原作でも胸を熱くして熟読していただきたい。
合掌