田母神元航空幕僚長が応募した論文「日本は侵略国家であったのか」が問題になった。マスコミは政府の公式見解と異なる内容を、組織のトップが公表したことを非常に問題視しているが、書いている内容が間違いであると言った具体的な批判は少ない。

張作霖列車爆破事件や廬溝端爆破事件の真犯人の話などは、我々はなかなか真実は何なのか判断できない。双方の証拠と証言があり、どちらが本物で、どちらがでっちあげなのか、簡単にはわからない。どちらかを強く主張している人は、客観的に冷静に判断しているとは思えず、はじめからかつての日本は悪かった、あるいはその逆を堅く信じているように見える。

「侵略」と言ってしまえば、それは明らかに悪いことを指す。
「植民地」と言っても、現在の価値観からすれば悪いことかも知れないが、当時の世界地図を見ればごく普通のことだった。
「国土の拡大」と言えば、果たしてそれは悪いこのなのだろうか?

確かに戦前の日本は、台湾、北方領土、南樺太、朝鮮半島を日本の領土とした。
でも、もっと遡れば、沖縄や北海道も、国土を拡大してきた結果である。
北海道は、国家と呼べるようなものは存在していなかったが、アイヌ民族という別民族がいた土地を、日本国に組み入れた。
沖縄は、琉球民族による琉球王朝があり、これも日本国とした。
国土の拡大が悪とすれば、北海道と沖縄の日本国の一部としての開発は、「悪」であり「侵略」なのだろうか?
もし、「悪」というなら、琉球と蝦夷に対して、終戦後日本は、「侵略して悪かったから、どうぞ独立して下さい」と、言ってあげた方がよかったのすか?
国土の拡大は、少なくとも当時は「悪」ではないし、その中でどのような統治がなされたか、編入された地域住民にとって相応の恩恵がもたらされたか、非道なことは行われなかったかということで判断されるべきことではないだろうか?

例えば、李氏朝鮮という一応の独立国から、日本に併合され、終戦後独立した北朝鮮という国。
北朝鮮国民は、どの時代が一番安心して平和で豊に暮らせたのだろうかと考えると、
日本に併合されていた時代ではないだろうか?
果たして、「日本の侵略」から逃れて独立したはずの北朝鮮で、国民は幸せになったのですか?

台湾は終戦後中国の一部とされ、今なお独立国とはなれずにいる。
台湾は地理的にも民族的にも中国とは異なるが、終戦後漢民族の国家である中華民国に、その後共産党による中華人民共和国に統治された台湾という地域は、日本と中国、どちらに統治されていた方がよかったのですか?
日本の方が良かった(少なくともましだった)から、親日派が多いのではないですか?

太平洋戦争で日本は、多くの都市の市街地に無差別空襲を受け、最後には2つの原爆を投下されるという、大量無差別兵器による、非人道的な攻撃を受けて敗戦した。
そして、戦後の日本は、アメリカに占領され、その後独立するも、多くの在日米軍基地があり、政治的にもアメリカに逆らえないでいる。
これは侵略ではないのですか?

さらにアメリカはイラクが大量破壊兵器を保持しており、それをいつ使うかわからないから危険だという理由で、国連の承認を得ずしてイラクを攻撃し、挙げ句の果てに大量破壊兵器は出てこなかったのに、フセインを処刑し、未だ駐留し続けている。
これは侵略ではないのですか?
戦争を起こした罪、東京裁判で言えばA級戦犯は、ブッシュであり、ラムズフェルトではないのですか?

「侵略」という言葉がキーワードになり、短絡的な反省や批判が飛び交っているようしか思えない。