最近仕事が忙しいせいで、テレビドラマなどろくに見ていなかった。ところがここ2ヶ月ばかり、幸か不幸か暇になり、テレビドラマを何本か見ている。
 そのうちの1つが「ホカベン」。決して上戸彩のファンではない。脚本が秦建日子ということで、以前「最後の弁護人」が好きだったので、録画予約して見ることにした。
 1話から6話まで見たが、これが見ていて何ともしんどい。なにより、主人公の堂本灯を応援する気になれない。“真実”だとか“正義”だとか言っているが、彼女が頑張ることで、周りの人を全て不幸にしている。“弱者救済”だとか言っていたはずだが、誰も救っていない。まさにドラマの中で杉崎先生が言うように、「おまえの自己満足でしかない。」と言っているが、そのとおりだ。その杉崎先生も結局堂本灯を擁護しているが、そこに説得力を感じない。
 法律は武器であり、少なくとも道具である。ホカベンの公式サイトをのトップページには、「法律は、人を守るものか、人を傷つけるものか?」と出てくる。このドラマは少なくとも6話まで全て、「法律は人を傷つけるものだ」ということを主張し続けている。しかし道具である法律は使い方次第だし、全ての事象にこの道具を持ち出す必要はない。
 5、6話では法律、というより真実は多くの人を傷つけた。真実には人に知られたくない真実や知らない方がいい真実がある。真実を明らかにすることは必ずしも正義ではない。
 しかしあえて真実を公にして多くの人を不幸にしたのは、当事者でもない堂本灯である。堂本灯は弁護士かもしれないが、途中で担当を外されたのだから弁護士の仕事としてではなく、単なる野次馬である。しかも、エムザ法律事務所のクライアントである学園に結果的に迷惑をかける行為を意向に背いて行った。
 堂本灯はろくに稼いでいないのだから、間接的には学園からの依頼も含む、他のセクションが稼いだ弁護報酬から給料をもらっている。なんとも自己中心的でわがままな行為である。
 ドラマで重いテーマを扱うにしても、もう少しユーモラスなところとか、変化球的なものとか、見せ方があると思う。不愉快な現実をストレートに押しつけ、何の改善の期待も抱かせないストーリー。見ていてただただしんどい。わずかな望みを期待して我慢して6回まで見たが、もう見るのはやめよう。