マンション売約とコムスン問題、一見何の関係もないような話。

実は今度、マンションを買い替えるため、今住んでいるマンションを売りに出した。
チラシをまいたところ、早速問い合わせがあり、日曜日に2組の家族が内見に来た。
1組目は年金暮らしの老夫婦、2組目は3歳くらいの子供を連れた若い夫婦だった。

自分は手狭に感じてきたこのマンションを売って、より広いマンションに移るのだが、もっと狭いアパートで暮らしている家族にとっては、今より広くなることと、9階の海がすこしばかり見える眺望を気に入り、少しはしゃいでいた。
売ってしまうマンションだが、より喜んでもらえる人に住んでもらいたいと思った。

2組の内見が終わって、不動産屋さんが戻ってきた。
すると、1組目の老夫婦が、即決で購入すると回答したという。
しかも、値引きも最小限に抑えて、こちらとしては売らない理由が無い。
ただ、少し2組目の家族のことが気になって、
「2組目の家族も気に入ってくれていたみたいですよね。」
と、不動産屋さんに言うと、
「2組目の方は、介護関係にお勤めで、年収300と少なく、ローンが借りられるか微妙なところがありますので。
一方の1組目の方は、すでに土地を売却されて、現金をお持ちですので確実です。」

確かにそのとおりで、売り主としては、「若い夫婦に売りたい。」などと言うのもおかしいので、老夫婦に売ることに決まった。

そこでコムスン問題が頭をよぎった。
もともと知ってはいたが、介護関係の仕事はおおむね給料が安い。
別にコムスンのような介護事業者が不当に賃金を抑えているわけではなく、国が定めた介護報酬は、賃金水準がアルバイトの時給レベルの水準で、これに基づいて計算すると、どうしたって高い賃金は払えない。
つまり、制度から来る構造的な問題で、介護事業者、ましてや従業者では、どうにもならない部分が大きい。

年収300万円でも、暮らしていけないわけではないが、住宅ローンだとか、何かと厳しいことが多いもの現実。
できればもう少し収入が増えて、ゆとりある暮らしもしたいだろうし、できていいはずだ。

今日テレビのワイドショーで、グッドウィルグループの折口会長が出演し、司会者やコメンテーターにつるし上げられていた。
もちろん、虚偽申請や不正請求は良くない。
そのことを追求されたり、しかられたりするのは仕方がない。
ただ、コメンテーターが、「介護事業は営利を追求してはいけない」という主旨の発言をしていたのに、反発を覚えた。
営利の追求というと、あまり良い表現ではないが、企業はどんな業種であれ、利益を確保しない限り、事業を継続することはできない。
収益の増加を図らなければ、従業員の待遇を向上させることができない。
「福祉業界に働くものは、無償あるいは低収入のボランティアでやれ!」と言っているように聞こえる。
発言したコメンテーターは、いつもテキトーなことをしゃべるだけで多額のギャラをもらい、庶民から見れば贅沢な暮らしをしているのではないか?
自分たちは営利を求めていないと言うのか?

とても不愉快な気分になって、チャンネルを変えた。