黄色のサイコロが床に転がった瞬間光った。

へぇ~
こんなのあるんだーなんて感心してる間、サイコロを追い続けるカメラマン。

ガリガリってくらい痩せた、160㌢位の男性だ。
年はあたしらと同じ位だろうか。


そして出目は6!


「さぁ、6進みましょう。
僕はスケカン歴5年の村岡です。ずっとついて回りますがいないと思って気にしないでくださいね。
よろしくお願いします。」

と言われ、小走りに6と書かれた部屋を目指しながら「よろしくお願いしまーす」と笑って挨拶した。



これからどんな指示があるかも知らずに…



イエローゲートをくぐると続く廊下が黄色の明かりに照らされ、数字が書かれたドアがいくつも並んでいた。



6の部屋はあっという間に着いた。


「せーのっ!!」


と掛け声をかけながらあたしと亮は二人でドアを開けた。


そんなあたしと亮を撮りながら村岡がついてくる。


ガチャリと鍵がかかった音がした。



部屋の中はまさにラブホで、テレビにダブルベッド、小さなテーブルにラブソファ。

撮影の都合か、照明は不自然なほど明るい。
有線だろう、ジャズが小音量でかかっている。


テーブルに黄色い封筒が置いてある。


「これが指示かな」と亮が封筒を開けた。


中には黄色いカードが1枚。


ぱっとカードを見た亮は、一瞬目を見開き2回瞬きをしながらそれをあたしに見せた。
思っていたよりかなり奥行きのある建物みたい。
案内係はゆっくりと先頭を歩いていく。

あたしと亮はしっかりと手を繋ぎ、そろそろと列の最後を進んだ。

階段を上って、薄暗い廊下を進み、フロアの中央らしき地点で案内係は止まった。

そこはちょうど円形で、太陽の光のように放射線状に道が延びていて、それぞれ赤、黄、青、緑、紫、橙、桃色の明かりで照らされている。


「ここがスタート地点です。これからみなさんには簡単な双六で勝負していただきます。招待券にも記載されているとおり、素晴らしい賞品を揃えてますので是非頑張ってくださいね!」

とにこやかに言われてもまだ内容がよくわからない…
と思ってたら何やら箱を持ったさっきのAV嬢がやってきた。

「さぁ、彼氏さんが手を入れて一つ取ってくださぁぃ」

言われるままに1番若そうなカップルの男性が箱に手を入れ、握りこぶしくらいの赤いサイコロを取り出した。

「1番のカップルはレッドゲートでーす」とAV嬢。

あぁ、なるほど。サイコロの色で道が決まるのか…


次から次へとサイコロを取り出し、それぞれがブルーゲート、グリーンゲート、オレンジゲート、ピンクゲート、パープルゲートと決まっていった。

亮も同じようにサイコロを取り出した。
黄色のサイコロ。
好きな色だし幸先いいかも!


「これで全7組の道が決まりました。皆様にはサイコロで出た数だけ進んだ部屋に入り、その場の指示に従って行動していただきます。指示通りできたと判断されるとドアが開きますので、またサイコロを振って出た数だけ進んでいただくと…」

んー 要するに人間双六かぁ。初めてだなぁ…


「何か質問はございませんか?」


ぁー もうはじまるんだぁ…とのんきなあたしだったんだけど。

「ちょっといいですか?」と亮。やる気満々だなぁ…
「はい、どうぞ。」

「指示通りできたらって審判でもいるんですか?出来るまで鍵が開かないってことは、出来ない場合はどうなるんでしょう?」

「はい、各ゲート一人ずつうちの助監督をカメラマン兼審査員として同行させます。カメラマンが映している映像は観客の皆様が見ることになりますが、録画目的ではございませんのでご安心下さい。お部屋の指示がどうしても出来ないという場合は残念ながら棄権となりますが、ペナルティなどはございませんのであまり無理なさらないように。ただ、進んだ分だけ参加賞の賞品が変わりますので出来るだけ頑張って下さるとうれしいです。」

「わかりました。じゃぁリタイアすると参加賞の額が減って、最下位でもゴールしたときに50万というわけですかね。」

「その通りです。」

30代中~後半の男が口を開いた。
「観客というのはどこで見てるんですか?」

「観客の皆様は7ゲート全ての映像をモニタールームで見ています。」

「なるほど…」


「他に質問はございませんか?なければ早速ゲームスタートいたしましょう!皆様、サイコロを振って下さい!」


いきなりF1の音楽が流れた。パチンコ屋かよっとツッコミたいところだったけど、各カップルがサイコロを振り出したので亮を見た。

亮はニコッと頷き、黄色のサイコロを振った。


目の前にはイエローゲートがキラキラと歓迎しているように見えた。
あっという間に双六大会の日がやってきた。

あたしは一応勝負下着着用で気合い入れて…

優勝出来たらいいね~なんていいながら手を繋いでとある建物に足を踏み入れた。

すぐに受付があり、スーツの男性が「大会参加の方ですね、招待券をお預かりします」とにこやかに言った。

この対応に変な内容じゃなさそう、とあたしはホッとした。

観客受付してる女性もかわいい…あれ…AVのポスターで見たことあるかも。
「頑張って優勝してくださいね!」なんて言われちゃった。


すぐ違うスーツの男性に案内され、控室に通された。
他にも何組かカップルがいて、食べたり飲んだり寛いでる風だ。

「どうぞ開始時間までお好きなようにおくつろぎください」
と案内係は去っていった。

ふかふかで座り心地良さそうなソファーにコーヒーを持って座った。

ちらっと周りを見回してみると、年齢は20代前半~30代後半くらいだろうか、結構バラバラみたい。

この人達と戦うのかぁ…
なんて亮と話してると

「お待たせしました、会場へご案内します」
とさっきの男がやってきた。


ぁー なんか緊張するぅ!ドキドキするし、わからない内容に不安になりながらもあたしと亮は言われるままに進んで行った。