そういえば昔(といってもボクがまだ高校生の時)リックフレアーの自伝を読んだことがある。
本の内容は人の悪口のエレクトリカルパレードだが、ボクも何か偉大なる功績を残したら人の悪口ばっかり書いた自伝を出したいと思った。
『あいつは大した才能もないのにボスに尻尾ばかり振って気に入られた犬みたいな奴だ。』
『ぬるま湯につかった愚か者。』
『ボスのケツにKissをして会社から権力をもらった“優等生”。』
といった誰が聞いても得をしないで方向性がなく主体性もメッセージ性もないAmazon人気ランキング圏外になるような自伝を出したい。
そんなことを考えながら、ファミレスで飯を食っていた。
もうこっちに来て3ヶ月が経とうとしている。
『早いなぁ・・・』
時間は残酷なまでにキシキシと軋んだ音を立てながら過ぎ去っていく。
アメリカ人の適当さ加減に苦笑いし、
アメリカ人の適当さ加減に憤りを感じ、
アメリカ人の適当さ加減に慣れ始めた。
ボクはそれなりに外の世界を見てきたつもりだが、まだまだ知らない世界が沢山ある。
知らなくても良かった世界もあった。
充電器を新しく買う必要がある。
そして、充電器を買いに行った。
50%offと書いてあったので、早速これを買おうとした。
ということは7ドルで買えるというわけだ。
しかし、商品を取ることができない。
なぜなのかわからなかったので、横から見てみた。
『どうやって、商品をとりだすねーーん!』
と出口のない迷路に迷い込んだような気持ちになった。
完全にガードされてるので、レジに持っていけない。
考えた結果、ちぎってやった。
たまに値引きしない奴がいるから間違えないように直接商品に貼ってやった。
レジに並ぶ。
自分の番が来る。
商品を掲示する。
すると、店員に
『なにこれ?』
みたいな顔をされた。
そりゃそうだ、前例にないことをされているのだから。
マジマジとぼくの顔をみて
『これ二個買ったら半額という意味よ。』
と言われた。
よくよく見ると確かにそう書いてある。
ボクは赤面した。
問題ないよ!
っと恥ずかしさを誤魔化してそう言った。
レジ係に
『27ドルになります。』
と言われる。
27ドル!
高なってるやん!!
というか、倍の値段やん!笑
よくよく見ると商品を陳列する棚を間違えてやがった!(写真参照)
消費者であるこっちが気を使ったわ。
こいつら本当に適当なことするな!
こんな適当な仕事あるかっ!
と憤りを感じたが、こんな事は日常ではよくある話なので何事も感じなくなっていた。
店の外に出ると夜空に満月が見えた。
黄昏、日本編