翠邑日誌

 Suiyu’s Diary

榎本翠邑

元書法展会員、元太玄会会員、元瑞雲会評議員同人、

元全国書道師範連盟会員、

元東京書道教育会会員、英国ではブルネル大学ギャラリー、アルバートホール等

での展示、英国BBCテレビ「天皇」等があり、また「俳画」・「水墨」・

「書」・「花」等の書の担当での出版物があります。 

東京生まれ。

 

 

4月 百人一首 87 寂蓮法師

©榎本翠邑書

©Japansumiecentre

 寂蓮法師 (じゃくれんほうし)87番

 

村雨の露も未だ干ぬまきの葉

に霧立ちのぼる秋の夕暮れ

 

 むらさめの つゆもまだひぬ

 まきのはに きりたちのぼる

 あきのゆふぐれ 

 

©榎本翠邑書

 

 

にわか雨があっという通り過ぎて、

露もまだ乾ききらないのに、

槇の葉にはもう霧がもやってる。

なんて美しい秋の夕暮れよ。

 

詩の背景

 

この和歌は、後鳥羽院が

催された歌合で、1201年に

行われた「老若五十首歌合」

の時に詠まれた歌です。

 

秋の風情をしみじみと感じさせる

歌になっています。

 

当時の「真木の葉」は

杉やヒノキ、高野槇や

犬槇の葉のことです。

 

「三夕の歌」

槇立つ山の 秋の夕暮れ」

の一首が、藤原定家、西行法師

の和歌とともに、「三夕の歌」

に選ばれています。

 

 

©Japansumiecentre

 

独鈷鎌首論争(とっこかまくび)

 

1193年、藤原良経による

主催で「六百番歌合」

が催されました。

 

この歌合は六条藤家と御子左家の

全面対決の様相となり、

家の威信をかけて歌を

競い合う合戦となりました。

 

特に勝敗を争ったのが

六条藤家の顕昭(けんしょう)と

御子左家の寂連の争いでした。

 

「寂蓮、顕昭は毎日に参りて

いさかひありけり。
顕昭はひじりにて独鈷を

持寂蓮は鎌首をも立て

ていさかひけり。
殿中の女房、例の独鈷鎌首

と名付けられけり。」

 

顕昭(けんしょう歌僧は

(1130ー1209)独鈷どっこ

 と呼ばれる密教で用いる鉄製

または銅製で出来た両端がとがった

短い棒状のもの法具金を持ちあげ、

寂蓮は鎌首を立てて、毎日口論を

交わしたと激烈な戦いの

様子が記されています。

©Japansumiecentre

 

顕昭が独鈷を手に持ち、

寂蓮が鎌首のように首をもたげて

激しく議論した様子を見た女房

たちが「例の独鈷鎌首」と囃し立てた

ことからその名がついたことは有名で、

「独鈷鎌首(とっこかまくび)」

という言葉が論争好きの歌人を

意味する四字熟語として

今に伝わっています。

 

 

これは、万葉集を重んじた旧態派

であった六条藤家の顕昭に対して、

御子左家の歌人で革新を目指す寂連に

とっては、我慢がならなかったのでしょう。

 

「村雨の露もまだ乾いていない

真木の葉のあたりに、

霧が立ちのぼる秋の夕暮れよ」

 

和歌を創作する際、で晩秋の風景

というと、「紅葉」が選ばれるの

ですが、寂連は常緑樹を選びました。

 

杉や檜などの色が変わらない 

葉に霧が立ちのぼる、夕暮れの

美しさを歌に詠んだのでした。

 

晩年は嵯峨に住んだと伝えら

れています。

 

©榎本翠邑書

 

 

新古今和歌集の撰者

 

新古今和歌集の撰者の

一人でしたが、完成を待たず

没してしまいました。


なお、それ以外の撰者は

源通具源 通具 

(みなもと の みちとも)

(堀川通具)、六条有家

(藤原有家)藤原 有家

(ふじわら の ありいえ)、

藤原定家、藤原家隆藤原 家隆

(ふじわら の いえたか)、

飛鳥井雅経飛鳥井 雅経

(あすかい まさつね)で、寂蓮の弟に

当たる定家も含まれていました。

 

©榎本翠邑書

 

寂蓮法師

 

寂蓮法師(じゃくれんほうし)

1139- 1202

平安・鎌倉時代の歌人です。

 

俗名は藤原定長

(ふじわらのさだなが)、

藤原氏北家長家流。

 

醍醐寺の僧、

阿闍梨俊海の子でした。

 

母は未詳。

藤原俊成の兄弟であるおじ

俊成の甥で藤原俊成の養子でしたが、

俊成に実子である 成家、定家が 

生れると、それをを機に

出家して寂蓮と称しました。

 

©榎本翠邑の画と書

 

定家は従弟。

尊卑分脈によれば、在俗時に

もうけた男子が四人い他と

言われています。

 

妻は藤原永範の女、子供たちは

男子が、藤原保季(1200年?)

藤原実宗養子、幸尊、公猷、昌観、

女子は藤原家隆室がいました。

 

出家

 

出家したその後諸国行脚の

旅に出、河内、大和などの

歌枕を探訪しました。

 

高野山で修行したことも

あったと伝えられています。

 

1190年には出雲大社に参詣しており、

同じ頃東国にも旅しています。

 

後鳥羽院に一目された 

 

晩年は嵯峨に住み、後鳥羽院

より播磨国明石に領地を賜わって

繁栄したということが「源家長日記」

( みなもとのいえながにっき)

にみれれます。

 

「新古今和歌集」の撰者となり

ましたが、完成を待たずに翌1202年

没しました、享年64歳でした。

 

©歌川国芳画

 

歌人としての寂蓮法師

 

歌人としては出家以前から

活動が見られ、1167年の

太皇太后宮亮経盛歌合、

1170年の左衛門督実国歌合、

同年の住吉社歌合などに

歌を出しています。

 

出家後は1178年の別雷社歌合、

同三年の右大臣兼実歌合に参加し、

また1185年頃の無題百首、

同2年西行勧進の二見浦百首、

同3年の殷富門院大輔百首、

同年の句題百首、1190年の花月百首、

同2年の十題百首など、多くの

百首歌に参加し、定家、九条良経 

(くじょうよしつね)

藤原家隆 (ふじわらのいえたか)

ら新風歌人と競作しました。

 

家系

 

歌道に精進した、御子左家の

中心歌人として活躍しました、

御子左家(みこひだりけ)は、

藤原北家嫡流藤原道長の六男、

権大納言 藤原長家を祖とする

藤原氏の系流で御子左流

(みこひだりりゅう)ともいいます。

 

ただし「御子左」を家名として

名乗った者はないようです。

家系をバックにして戦った

「六百番歌合」での顕昭との

「独鈷鎌首論争」は有名です。

©Japansumiecentre

 

1193年頃、良経主催の

六百番歌合では六条家の

顕昭と激しい論戦を展開する

など、御子左家の一員として

九条家歌壇を中心に活躍を

見せるようになりました。

 

後鳥羽院歌壇でも中核的な

歌人として遇され、正治二年

初度百首、仙洞十人歌合、

老若五十首歌合、新宮撰歌合、

院三度百首(千五百番歌合)などに

多くの詩歌を出詠しています。

 

1201年には和歌所寄人(よりうど)

となり、新古今集の撰者に 

任命されました。

寄人とは朝廷の官衙である

和歌所における職員で、

和歌所は、召人(めしうど)と

呼ばれました。

 

 

 

©Japansumiecentre

 

これは和歌の作成、選定能力に

精通した事務能力のある官人が

選任されました。

しかし翌年五月の仙洞影供歌合

に参加後まもなく亡くなり、

新古今の撰集作業は果すこと

ができませんでした。

 

家集に「寂蓮法師集」があ離、

千載集初出、勅撰入集は

計百十六首あります。

 

書家

 

寂蓮は書家としても名があり、

現存する書跡は

一品経和歌懐紙

熊野懐紙

があります。

 

©寂蓮筆二首懐紙 京都国立博物館蔵、国宝

 

 

「三夕」

 

 後の世において、

新古今和歌集秋歌上の中の

結句が「秋の夕暮」の三首並んだ、

西行、定家と寂蓮の「さびしさは」

を三夕と称し、茶具の

銘などになっています。

 

 

 

 


おしまい

ではまた、ごきげんよう。

 

ありがとうございました。

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ごこれからもよろしくお願い申し上げます。

お便りはこちらまで 上田トミ 

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翠邑書 Haiga Illustrated HAIKU Poems by Yukki Yaura

 

SHO: Japanese Calligraphy   ISBN    0-9538692-3-7

俳句 英語版

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ありがとうございました。

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