不増不減 | 水そー屋さんのブログ

不増不減

車に乗っていると、ガソリン価格の表示が気になる。

スタンドの前を通れば、表示の数字に必ず目が行ってしまう。

皆さんはどうだろうか? きっと価格が気になるのは僕だけではないだろうと思う。


そしてその数字に一喜一憂する自分がいる。




ついこの間、レギュラー105円の表示を見て、

ちっ! 上がりやがった。

と瞬間的に、というか、無意識的に不快に感じた。

そのスタンドではちょっと前までは101円と表示していた。

そこでふと、自分自身に一つの疑問が湧いた。

105と言う数字を見て、今僕は不快に感じた。

それは101から105に値上がったからだ。

しかしよく考えてみると、数ヶ月前にはガソリン価格は140円の時もあった。

その頃に比べると大幅に値下がっている。

消費者にとっては大変喜ばしいことである。

同じ105という数字にもかかわらず、

なぜ僕は、不快だったり、嬉しかったりするのだろうか?

そのことがとても不思議に思えたのである。

そしてしばらく考えた結果、

僕は過去を引きずって生きているから

という結論に辿り着いた。

105円という価格を前に、101円と言う過去を引きずって生きているから嫌に思う。

105円という価格を前に、140円と言う過去を引きずって生きているから嬉しく思う。

どっちの思考で生きるかは、その人の自由だ。

そしてどちらかの思考ではなく、

過去を引きずらないで、今この瞬間の105円だけを見れば、感情に左右されることは無い。

それもまた自由だ。





自分の収入を明かす気はないので、例えばの金額で記す。

自営業である僕の収入は毎月違う。

例えば今月の収入が20万円だとする。

先月は30万円だったのにぃ とがっくり肩を落とす。

しかし、収入0円だった、水そー屋さんを始めた当初のことを思えば、

なんて有り難い毎日だろうと思う。

長くは記さないが、言いたいことはガソリン価格の話と全く同じである。





ある朝、本を読んでいると、こんな言葉に出会った。

不増不減 フゾウフゲン

解説にはこんな事が書いてあった。

日本酒がビンに半分だけ残っていた時、
酒好きの人は『半分しか残っていない』と悲しむときもあれば、
『半分も残っている』と喜ぶときもあります。
日本酒の量は同じですから、その増減にこだわっているのはその人の心です。
そんな無用なこだわりを捨てるのが、『空(クウ)』の考え方です。

これを読んだ時、

なぁんかどっかで似たようなことを感じたなぁ なぁんかあったなぁ

と、しばらくう~んと考えて、ガソリン価格での件を思い出した。




上記の『こだわりを捨てる』を、僕の『過去を引きずらない』に当てはめると、

なんと話がぴったりとマッチしてしまうではないか。

般若心経の教えと僕の生活のワンシーンが完全にリンクした出来事であった。

大事な事は、今を生きると言う事。

今この瞬間を生き、この瞬間に全力を尽くす。

未来は、今この瞬間の、積み重ねの結果である。