グレン・グールド (Glenn Gould)
1932年、トロント生まれ。14歳でピアノ部門の修了認定(アソシエイト)を最優等で取得し、ピアニストとして国内デビュー。
1955年、米国デビュー公演の直後に米CBS(現ソニー・クラシカル)
と専属録音契約を結ぶ。
20代は世界各地に演奏旅行に赴き、カラヤン、バーンスタイン、
セル、クリップスなど錚々たる指揮者たちとも共演して名声を築く。
1964年4月のリサイタルを最後に演奏会活動を引退、
以後は録音と放送番組の仕事と執筆に専念。
1982年10月4日、脳卒中のため急逝。前年に再録音した
『ゴールドベルク変奏曲』が遺作となった。
1932年カナダのトロントに生まれたグールド。彼の名声が
一気に高まったのは、1956年に米コロムビアからリリース
されたバッハの『ゴルトベルク変奏曲』のレコードだった。
若手ピアニストが『ゴルトベルク変奏曲』でメジャー・デビュー
というのは当時保守的だった北米では考えられぬことだった。
この時代のピアニストに求められたのは、いかにロマンティック
に歌い、そして煌びやかに超絶技巧を駆使するか。
つまり、ショパン、シューマン、ベートーヴェンあたりを
華麗に弾いてくれるほうが、レコード会社としては
ありがたかったのだ。
そのあまりにも鮮烈なバッハは、レコードの歴史に残る
演奏となった。これまで誰も聴いたことのないモーレツな
スピード感。エッジの効いたフレーズがひたすら疾走していく。
そして、なんといっても声部の一つひとつが声高に主張し、
躍動しまくる、百花繚乱のポリフォニックな音楽。
主旋律と伴奏のようにヒエラルキーが整ったホモフォニーに
慣れ親しんでいた耳には、お祭り騒ぎのようにも響いたろう。
そもそも『ゴルトベルク変奏曲』はチェンバロのために
書かれた曲。ピアノで弾けば、どうしても表現が重くなる。
響きも混濁しがちだ。
グールドは、音を繋げるためのレガートを効かせず、一音一音を
ソソリ立たせるスタッカートで弾き続ける。
打楽器的な側面をもつピアノで、滑らかに旋律を奏でるのは
演奏家の腕前の見せ所(とくに、ロマン派音楽では)。
そんなものは必要ないといわんばかり、どこか挑発的な
奏法に聴こえたに違いない。
[HD] Bach's Goldberg Variations [Glenn Gould, 1981 record] (BWV 988)
lyskiddie
Glenn Gould - Beethoven, Concerto No. 5 in E-flat major op.73 "Emperor" -
Part 2 (OFFICIAL)
Glenn Gould - Ravel, La Valse
Brahms - 10 Intermezzi + Presentation (recording of the Century :
Glenn Gould / Remastered)